この記事の公開日:2023.05.28
▲以前の記事:野中兼山物語①では、農業用水を物部川から田園地帯に引き込むため「三又」が造られたことを紹介した。実は、そのすぐ近くに知る人ぞ知る花咲くスポットがある。それが「のいち あじさい街道」である。
▲そこには地元を愛する一人の男性による、ある取り組みから始まった物語が隠されていた。今回は、マスコミではめったに報じられないエピソードと、人々を魅了してやまない「のいち あじさい街道」の姿について、独自の取材を元に紹介してみよう。(※撮影:2022年5月中旬~6月上旬)
▲のいち あじさい街道=長さ:1.2km・種類:30種(アジサイのみ)・数量:19,000株(アジサイのみ)
▲人々を魅了するこの美しい光景は、決して一朝一夕で出来たのではない。まずは、この景観が出来上がるまでのエピソードから始めよう。
▲此処は元々荒れ地で、草が生い茂るだけでなく廃棄物が目に余る状態の堤だった。
▲そこで、一人の地元住民の男性が「何とかしなければ…」と立ち上がった。それが「のいち あじさい街道」の始まりである。
▲当初、彼は独りで土を運び込んで整備をしていた。やがて、反対側から同じく整備をしている男性と出会い独りが二人になった。いつしか彼らの行動は他の者たちを動かすことになる。「荒れた地を整備することで、愛する地元が賑やかになれば…」との思いが広がっていったのである。以来、志を共有する仲間と共に溝の草取りやアジサイの苗の植栽等を、8年余りの歳月を掛けて行っていった。
▲その行動は、やがて地域の大企業を動かすまでになる。毎年サクラの苗木を寄付してくれるようになったのだ。そして、ついに行政も動いた‼ 肥料の提供をはじめ、様々なバックアップ体制を整えていったのだ。
▲さらに、訪れた人々もこの美しい景観を遺していくため賛同し、毎年多くの浄財が集まっている。
30種類のアジサイが咲く光景は 圧巻‼
▲これらの場所は、日常的に住民の散歩道やジョギングルートとして活用されている。何とも贅沢なルートではないか⁉ (※夏にはホタルの群舞が見られることでも有名)
派手な部分は 花ではなかった‼ という事実
▲ところで、通常皆が思っている派手な部分は花びらではない、ということをご存じだろうか⁉。それはがく片と呼ばれるもの。花が花粉を運ぶ虫を呼び込むため、目立つようにと進化したものである。
▲実は、花は〇の部分(※一部の花のみ印を記載)である。つまりアジサイは茎1本が一つの花ではなく、花の集合体というわけなのだ。
特にCMをしないのに お客人たちは知っている
▲のいち あじさい街道の「花祭り(仮称)」は営利目的ではないので、マスコミを通じてCMを流してはいない。その代わり、TV・ラジオ・新聞がこぞって季節の話題として取り上げてくれているのだ。
▲開花時期には何処からともなく、人々(お客人)が集まってくる。もちろん、県内だけでなく県外からもだ。よくよく考えてみれば、田園地帯の何とも不思議な光景である。
美しい景観を守り 明日へ遺していくために
▲此処は東側には竹藪が生い茂り、西側には田園が広がっているという環境にある。
▲そのため、西からの日差し時間が長いので、日差しが満遍なく当たるよう遊歩道の西側の茎の高さを低くしている。
▲お客人たちはあまり気づかないかもしれないが、美しい眺めにはこんな細やかなおもてなしの心が活かされているのだ。
▲そして、このスポットは春にはサクラが咲き誇り、もう一つのピークを迎える。
▲例え季節限定の花であっても、日々(オールシーズン)のメンテナンスが欠かせない。ご苦労様です。
▲駐車場では格安で鉢植え等の販売が行われ、家に帰ってからもアジサイを愛でることが出来る。
▲今回ご覧いただいたアジサイのシーンは、2022年の梅雨の前に撮影したものばかりだが、今年も間もなく(6月初旬~上旬には)見頃を迎える。静かな田園地帯の一角が、暫し人々の姿で賑わうことだろう。(※開花時期は年毎に若干異なります)
コメント
野市のあじさい街道は1㎞をゆうに超す長さがあり見応えのある景観やね
これが一人の地元住民の方の一念発起から始まって見事な花街道になってきたとは凄いわ
開花はいっときでも花木の世話は年がら年中いるろうし人様に見てもらえる風景を保って行くということは手間が大変じゃろうねえ
格別宣伝せいでも時期になればちゃんと訪問者があるとは皆によう知られちゅうということよねえ
待ちかねゆう人がどっさりおるがやろうねえ大したもんやわ
ここはサクラもあって春先から「ながせ」の時期まで折りおり花を楽しめて言うことないねえ
今年は早々と五月末には梅雨入りしたきアジサイを楽しめる期間が長いろうかねえ
雨にはやっぱりアジサイでねえ
いつもご覧いただきありがとうございます。
何でもそうですが、はじめの一歩を踏み出す人は凄いですね、尊敬します。
今回のエピソードは、当事者へのインタビューで明らかになったものです。
一般的に、日頃報じられるニュースには様々な制約があり、内容がかなり端折られてしまいます。
つまり、今回のような細部の情報は報じられることは滅多にないのです。
別に知らなくても花を愛でることは出来るのですが、
日頃スポットが当たらない人々にフォーカスし、知ってから体感することはとても意味のあることだと考えます。
これからもコタツ記事(真偽が不確かなネット情報の寄せ集め)ではなく、
可能な限り正確な情報をお伝えしていきます。