この記事の公開日:2023.11.20
▲地方の町で何気なしに目にする白い建物:灯台。誰もが一度は目にしたことがあることだろう。
▲11月1日が灯台記念日に制定されている。これは、日本初の洋式灯台である観音埼灯台(神奈川県横須賀市)の起工日が11月1日にあたるため、海上保安庁により制定された。
▲さて、灯台の内部がどんなふうになっているのかご存じだろうか? 仕組みは・レンズは・構造は・その役割は?
▲今回は、2023年11月3日に高知県下で唯一開催された「灯台まつり」を通じて、訪れた人々の姿や灯台に秘められた歴史などをご紹介します。
▲舞台となったのは四国の右下にあり、太平洋に向かって何も遮るものがない室戸岬灯台。ちなみに隣には四国八十八番札所の土佐最初の札所で、最御崎寺(第二十四番札所)がある。
▲そのため札所を訪れた多くのお遍路さんが参拝後、灯台も訪れるケースが見受けられる。もちろん、灯台の内部が公開される珍しい日なら尚更…。
▲その灯台は、駐車場から遊歩道を歩くこと4~5分で辿り着ける絶妙な位置にある。
室戸岬灯台とは…①
▲室戸岬灯台は、灯の高さ15.4m・灯の直径:4.4m・灯火までの高さ:154.7m・レンズの直径:2.5m・光の到達距離:49kmとなっている。灯台の役割が、航海者たちの安全を守る水先案内人なのはご存じの通り。
▲この灯台が出来た理由は、日清戦争直後の開運助成策の一環として建設されたもの。その後、第二次大戦末頃には灯台に網を被せ、そこに木枝を差し込み敵機からカムフラージュした。
▲にも関わらず、敵の艦載機から機銃掃射を受けてしまった。灯台自体は倒壊しなかったが、レンズの破損と本体に損傷を受けてしまったのである。
海上保安庁の 粋な計らいにより…
▲灯台まつりに訪れたお客人たちが一斉に眺めているのは…
▲関西空港から飛行して来た知る人ぞ知る海上保安庁のハヤブサ1号(MA953)。(※長さ19.7m・高さ7.0m・幅22.8m)
▲「通常時より低空飛行」という粋な計らいに、お客人だけでなくスタッフたちをも感嘆させていた。
まつりを盛り立てる 立役者たち
▲まつりでは大海原を舞台背景に地元高校生による演奏会が実演され、お客人たちの耳を魅了した。
▲また会場には海上保安庁のマスコットで、ダイバースーツを身にまとったうみまる君も訪れ、海上保安についての啓蒙やPRをするなど、場を盛り立てていた。
▲そして、うみまる君よりもさらに背高ノッポのバルーンパフォーマーも登場し人気を博していた。
室戸岬灯台とは…②
▲日本の灯台50選にも選定されている室戸岬灯台。現在も活躍する鉄造の灯台では日本で二番目に古い、歴史ある灯台である。
▲駆動装置が電動化される前は、レンズを回転させるための重りを手動で上げていたため、24時間体制で担当者が詰めていた。簡単にいうと鳩時計と同じ仕組みである。
▲そのため、1Fは主に事務所として機能していた。(※画像左:最上階まで続く本体部分)
室戸岬灯台とは…③
▲灯台にとっての命ともいえるレンズ。写真は室戸岬灯台で使用されている第1等レンズ。日本では5ヵ所のみしか採用されていない(※直径:2.5m・焦点距離:0.92m)。光達距離(49km)は日本一を誇っている。
▲なおレンズは、軽量化のためフルネルレンズの原理を採用。つまり、特定の角度で投影される光を反射して閃光を回転させている。
▲そのため、台座は片手(脚)でも軽く回転させることが出来るのだ。
こんな機会を見逃さない お客人たち
▲「さぁ絶景を眺めるぞ、映え写真を撮るぞ‼」…日本一のレンズを間近で見られる。灯台とお客人たち、そんな光景はこの日しか見られない。
点灯‼
▲地元の小学校児童2人が「こども灯台守」に任命され、日没時刻と同時に灯台を点灯した。
▲見守っていたお客人たちが一斉にカメラを向ける姿はいつ見ても…それも現代ならではの光景か。
▲いよいよ辺りが暗くなり始め、灯台がその本領を発揮する時間となってきた。
年に一日限りの 夜の光景
▲点灯後は、もちろん最上階へ上ることは出来ない。
▲普段の夜、訪れる人は限られている。レンズの灯り以外周囲を照らすものは何もないが、この日ばかりは賑やかで華やかな夜だった。
最後に 撮影のこぼれ話を…
▲室戸地区では秋分頃~春分頃にかけて、だるま朝日やだるま夕日を見ることが出来る。これは海水と大気の温度差により太陽光が屈折して「達磨」のように見える、蜃気楼の一種である。
▲この珍しい自然現象を「前日に見られた」との情報を現場で耳にしたので、期待しながらその時をじっと待ってみた。
▲期待していたのは、他のお客人たちだって同じこと。
▲さぁ、どうだ…!?
▲水平線の彼方に雲があったため全員あえなく撃沈の憂き目に。これからの季節が見頃となるらしいので出逢える希望はまだまだある…。
コメント
灯台といえばロウソク形でスラッとしたイメージが通り相場やけど室戸岬の灯台は光の到達距離などの規模・役割のわりには相撲取りの体型にいうアンコ形のドッシリ・ガッシリとした形状で敷地から見上げても首がダレる程でもない高さの怖さを感じさせない親しみがわく灯台という風情やね
老生灯台祭りと称するものには行き会うことがなかったけど灯台内部の見学や演奏会にマスコットキャラクターやバルーンパフォーマンスが人目を引き出店もあり海上保安庁の飛行機✈の飛来もあって夕方には沈みゆく夕日を眺め灯台の点灯を待ちと日中から夕刻までなかなか意匠をこらした味わいのある祭りやねえ
今年高知県下での灯台祭りは室戸岬灯台でだけ開催されたみたいやけどなんとまあはるばる追いかけて行ったねえ
室戸岬灯台は日清戦争後に建設された日本有数の規模を誇る灯台らしいから百二十~三十年近くの歴史がある勘定やけど先の大戦の敵機の機銃掃射を受けた被弾跡が残っているとはねえ
灯台もいくさの最前線に立たされていたことになり頭が下がるねえ
終戦間際の頃やろうけど飛距離がでない艦載機が室戸岬に飛来したということは空母は護衛艦など多数の艦船とともに展開してくるはずやから潮吹くサカナが泳ぎよるおらんくの池に往時かの国の鉄の船がわがもの顔で遊弋してたのかぁ
四国東南の突端にあって風雨にさらされひたすら航路の道標としての役割を黙々と果たしてきた中でのツライ歴史のひとコマやねえ
御神輿ワッショイとはひと味違った灯台祭り
なかなかよかったわ
仰るように、室戸岬灯台は山の斜面の上に建っているためかアンコ形になっていますね。
そこに気づいたとは、よく細部までご覧いただいているからでしょう。
ありがとうございます。
本体に今も遺る傷跡は、かつて戦争時の襲撃がこの地にも及んでいた証拠です。
位置から判断するに、灯台の西方からガラスを貫通して被弾したようです。
ガラス部はさすがに修理を施したのですが、本体の傷を残したわけは…
(明確な資料は残っていませんが)
⓵直ちに修繕しなくでも使用に耐えうるため経費の節約が図られた。
⓶戦争の遺構として戦争の悲惨さや愚かさ等を後世に伝えるため。
等が考えられます。
(今回の記事の主旨とは少し離れますが)
今も世界で行われている戦争は私たち日本人にとっても、決して他人事ではないことを痛感せずにはいられません。