
この記事の公開日:2023.10.10

▲2023年9月中旬、かつて捕鯨の町として栄えた室戸の漁港で「ふるさと室戸まつり」が開催された。目玉は今年限りで復活した鯨舟競漕、4年振りのレースはハプニングが続出。今回は、TV等では報じられなかったシーンを盛り込みながら、多くの人で賑わった祭りの一日をご紹介します。

▲祭りの会場となったのが、四国の右下突端近くの「海の駅:とろむ」である。

▲海の駅:とろむには室戸岬漁港(新港)をはじめ、室戸ドルフィンセンター、飲食・体験施設:室玄、青海苔の養殖施設等がある。また、鉄道とバスのハイブリッド車:DMV※(デュアルモードビークル)の発着地点にもなっている。《※土・日・祝日のみ運転:とろむ~阿波海南文化村》

▲道の駅とはいえ、普段はもの静かな港が…

▲この日ばかりは朝から夜まで一日中、ひと・ヒト・人だかり。


▲当然プロ・アマのカメラマンたちが入り乱れて、少しでもいいショットをモノにすべく奮闘する。(かく言うOIRAもその一人なのだが…)
捕鯨の町の祭りとは…

▲開催を告げる式典では、地元の小学校児童たちによる鯨舟の唄が披露され、お客人たちを魅了した。

▲児童たちは伝統文化を継承するため、日頃から授業の一環として鯨舟の唄を習っている。ちなみに鯨舟の唄とは、鯨が獲れたことを祝って漁師たちが歌っていたものである。地元への理解を深め、愛着を持ち続けるためにも大切な取り組みだと感じた。

▲室戸は、古くは捕鯨の町として栄えた。(詳細はブログ記事:おらんくの池にゃ潮吹く魚が泳ぎよるで紹介済み)


▲古式捕鯨で欠かせなかった勢子舟、今回の鯨舟競漕で用いられた。(※もちろん復刻版である)
貴重なレースを カメラに収める

▲鯨舟競漕は、捕鯨の町を全国に発信しつつその歴史と鯨の食文化を後世に遺すため、1988年から始まった。その後、コロナ渦や実行委員会メンバーの高齢化を理由に2019年に中止された。

▲しかし、鯨館の名誉館長であった(作家)C.W.ニコル氏の三回忌の追悼行事として今年限定として復活されたのだ。

▲往復600mのタイムトライアルレースには、13チーム・延べ260人が参加し会場を沸かせた。


▲一般・漁師・奥方・学生・お客人等、老若男女が参加したレースはハプニングが続出した。
まずは レースの模様をレポート

▲レースは2艇ずつで行われ、最終的にベストタイムを競う方式だ。「用意はいいか!?、Go‼」

▲漕手たちだけでなく…

▲レースの行方を見守るギャラリーにも、おのずと熱が入る‼

▲どちらが勝ったのか!? 微妙だが…

▲勝てば歓喜に溢れた表情になるのは、何処のお国の人であっても同じこと。

▲出漕時とは異なりレース後には腕がパンパンの状態で、上陸するにも一苦労。
レース中には ハプニングが次々と襲う…

▲スタートして間もなく、左のチームが明後日の方向を向いてしまった。

▲今度はスタートした直後、右のチームがコースアウトし…

▲その後軌道修正するも、コースロープに乗り上げてしまい救助艇が駆けつけることに。(ちなみにこれら一連のアクシデントは、この鯨舟レースでは失格にはならない)

▲結果はご覧の通り。先ほど乗り上げたチームは遥か彼方、折り返し地点を戻り始めたばかり。


▲そのチーム、やっとの思いでゴールまで漕ぎ切ったのは良いが、着岸のため(岩壁側から)のロープ投げが失敗し…止む無く一人の漕ぎ手が海に飛び込み、ロープを舟の漕ぎ手へ手渡すことに。

▲アクシデントは重なるもので、舟を岩壁に引き寄せる際に他の舟にぶつかりそうになった。急遽バランスの舵取りをする羽目になったのは先端に着座していたカメラマン…これら一連のシーンはもちろん報道されなかった。

▲最終的には係の人に櫂を掴んでもらい無事着岸できた。何とも微笑ましい(レース)シーンを見られて何故か心がほっこりしたのだった。
腹が減っては 戦はできぬ!? (もう終わったけど…)

▲レース後には鯨肉を使った料理が振舞われた。漕いだ人も応援した人も空きっ腹を満たすため並び続ける。例え炎天下でも、そんなの関係ねェ‼

▲余談だが、この会場の所在地は「室戸市字鯨浜」である。えっ、そんなの関係ねェ!?
高知では 祭りの定番といえば よさこい踊り

▲夕方には、高知のまつりで定番の「よさこい踊り」が披露された。参加したのは地元に縁のある2チームの有志たち。


▲夏真っ盛りのよさこい踊りもいいが、秋に「こんにちは」を告げる頃のよさこいもいいものだ。
漁港の花火大会は サラウンド状態の大迫力

▲祭りもいよいよフィナーレ。漁港を会場に2,500発の花火が打ち上げられ、人々の目をくぎ付けにした。音が防波堤や消波ブロック等に反響してサラウンド状態となり、大迫力の場面であった。




▲周囲に高い建物がなく、さらに上広大な会場なので好きな場所からゆったりと見ることが出来た。ちなみに、奥に見える室戸スカイラインからも雄大な太平洋と港町の灯りを含め見事な眺めが見られるのだ(もちろん、そこからの写真は撮れていないが…)。鯨舟競漕は今回限りらしいが、花火大会は続く。来年はぜひスカイラインから眺めてみたいものだ。

▲花火がいきなり中断したと思ったら、港の入口辺りから一隻の派手な船が現れた。「おっ!、粋な演出!?」と思ったら、実は沖を航行していた船がエンジントラブルで寄港したため。しばし、観客たちの目を違った意味でくぎ付けにすることに…
花火大会 宴もたけなわですが…

▲海と室戸岬の半島を背景とした大自然の中での花火大会。幼子の目にはどのように映り、心にはどのように遺ったのだろう!?

▲イマドキの幼子はスマホも難なく使いこなす。新しい遺し方なのかもしれない…。OIRAは、この美しい自然が未来へ続くための立役者に望みを託して会場を後にしたのだった。
コメント
捕鯨に命をかけた鯨船の勢子舟はなんとスリム・スマートなんやろねえ
暴れ動く鯨を捕らえるにはスピードや小回りが必要なためやろうけど乗組員にはスリル満点な舟とちがう?
捕鯨シーンを想像しただけで冷や汗が出るわ
おっかね~!
この舟を現代人が操作して競漕するとは見上げた度胸やけど競争・競技のたぐいとなればハプニングはねえ
むろんアッと驚くようなハプニングは元より望んでおらずクスッとなるようなものがちょこっと見られないかなあ程度の小心者の不謹慎なつぶやきを御宥恕願いたいところこのたびの鯨舟レースは“チョイとヒヤヒヤ”“おっとっと”というようなハプニングが散発したらしいけど皆さん御無事の終幕を迎えられたようでまずは目出度い
レース後には振る舞い料理によさこい踊りの披露と続き夜には2,500発の花火大会!
いい締めの大会やねえ
花火が水面に反射したり音が防波堤などに反響してサラウンド状態になるとは地元色が出てええねえ
デジタル機器で花火を撮る子供の絵柄はなんとも微笑ましく頼もしいけどよく撮れたねえ
鯨舟競漕は今回限りと寂しい限りやけどさいわい花火大会は続くということやから先で別のアングルからの花火映像の披露が待たれるねえ
細部までご覧いただきありがとうございます。
ブログ記事「おらんくの池にゃ 潮吹く魚が泳ぎより(2023.9.10公開)」で詳しく触れていますが、
その昔「鯨が一頭獲れると7つの町が潤う」といわれたほど、町や人々の暮らしを潤した、室戸のまちに根付いていた捕鯨です。
しかし潤いとの引き換えは、命がけで鯨と向き合わなければなりませんでした。
その際使われていた勢子舟(復元)を使い、競漕を通じて我が町の伝統を後世に伝えていくという行事は、
明日を担う地元の子どもたちへ何よりの教育でもありました。
しかし運営の担い手(年齢層)の高齢化に伴い、止む無く中止となってしまいました。
こんなところにも高齢化問題が影を落としていたんですね。
ウイズコロナが何時かアフターコロナの時代になり
「(何時の世か)若手有志たちの手により復活させて欲しい」と願わずにはいられませんでした。
ps.花火大会は昨今にしては珍しく、無料で見られる大会でした。
しかも会場がただただ広いため、何処かの会場のように「隣の人の熱気で、花火を見どころではない」と言う事はなく、
微かな潮風を感じながらゆったり宵を楽しむことが出来ました。
贅沢な会場(環境)にも関わらず(花火大会は)決して有名ではないですが、絶対おすすめの花火大会です。
次回は、スカイラインから港町を見下ろした花火大会の撮影に挑戦したいと考えています。