この記事の公開日:2025.01.25
▲今春から始まる朝ドラのキーパーソン:やなせたかし氏。多感な時期を過ごした南国市:後免の町にフォーカスした後編…
▲視点は、歩いて巡ると見えてくる「ちい散歩」です。(※記事では南国市中心部を御免と呼称)
▲後免はコンパクトな町なので、歩いて回るのがベター。
▲関連記事=朝ドラ主人公:二つの故郷①(香北町×南国市) / 朝ドラ主人公:二つの故郷②(南国市ごめん) / 朝ドラ主人公:二つの故郷③(南国市ごめん) / ごめん・なはり線の旅②(後免駅~のいち駅)
御免を語る上で外せない 舟入川
▲町の始まり…土佐藩は、家老:野中兼山に命じて人工の用水路:舟入川を造った。中流の南国市には舟運を利用した商業地として商人や職人を集め、諸役御免(年貢を免除)の地域とした。
▲後に、この地は「後免町」として栄えることになった。
▲舟入川は、今も人々と密接に関わりながら息づいている。
後免の 特徴とは
▲昔の面影が色濃く残る後免。よく見るとその名残りが…
▲町中には、舟入川から南方へ道が緩やかに下っている箇所が…
▲これはこの辺りが田園地帯だった名残りで、田んぼに水を引いていたため。
▲水路がそのまま、あるいは塞がれて町を形成している箇所も…
▲すれ違いが困難な狭い路地が至る所で見受けられるが、これらはかつて田んぼの畦道だった名残りである。
▲例え幹線道路だって…
▲一歩入るとご覧の通り…
この地でも 生活の知恵が…
▲高知県は風雨が強く(※年間降水量日本一)、さらに台風被害も多い所だということを以前の記事で紹介したが…
▲後免でも異なる風向き(強風)から屋根を守るため、その高さや向きによって右瓦と左瓦に使い分けている。
▲その名残りが見られるのも大きな特徴だ。
参勤交代のための 街道が…
▲住宅地を貫く一本の道路。何気ない道路に見えるが、実は…
▲その昔、土佐藩主が参勤交代のため使用した歴史ある道なのだ。
▲その道は、現在国道を跨ぎやなせたかしロードと名を変え、町の東へと貫いている。(地図内①)
街道脇には 由緒ある神社が佇む
▲住宅街でありながら、境内が(約)760坪もある日吉神社。(地図内②)
▲境内には鎮守の杜が残され、味わい深い光景が広がっている。
▲参勤交代街道で目に飛び込んでくるガラスで覆われた本殿。経年劣化は避けられないが、宮大工不足で技術の継承が難しくなっている。そこで劣化防止のためこのような措置がとられた。
▲空想上の守護獣である狛犬(※dogではない)。日本の狛犬は向かって右側が阿形、左側が吽形の相をしている。天魔や悪魔などの侵入から神社を守る番人として、睨みを利かせている。(※寺の場合、仁王像がそれに相当する)
▲境内の一角では冬~初夏までの毎日曜日、(100%純血種の)シャモによる闘鶏が行われている。混血種のシャモが多い今、純血種のシャモは全国的にも珍しいという。
▲ちなみに闘鶏用のシャモは、気性が荒い・運動量が多いにも関わらず発育が遅く、家禽としては飼いにくい鶏なのだ。
やなせたかし氏が 多感な時期を送った家は…
▲やなせたかし氏は(幼い頃に)父親が急逝した後、開業医を営む叔父の養子となり、東京の大学に進学するまで後免の町で過ごした。自宅周辺には畑が広がり、日本の農村風景が広がっていたという。
▲夕焼けは紅く美しく夜は満天の星が零れ落ちそうで、夏は蛍が乱舞するかつての風景に、彼は晩年「誰でも詩人になる…幼少年時代をこの土地で過ごせたのは幸運だった」と述べている。
▲現在では住宅に囲まれたその地に屋敷の姿はなく、やなせたかし・後免駅前公園として整備され住民たちに親しまれている。(地図内③)
▲ほのかな柑橘系の香りがするメラレウカティーなど、常緑樹が無機質な空間にアクセントを加えながら、訪れた人々に安らぎを与えている。
やなせたかし氏が 多感な時期によく遊んだ場所は…
▲その公園(屋敷跡)の西側に小高い丘がある。それが、高さ僅か14mの道信山である。(地図内④)
▲そこは、長宗我部氏の古戦場(※無名戦士の首塚)だったといわれている場所。たかしは弟と一緒に朝から晩まで遊んでいたという。
《参考》シンボルロード(※前回紹介済み)脇に供養碑が有志により建てられている。(地図内★)
▲道信山は地元の人たちにより植物が植えられ、美観が保たれている。
やなせたかし氏が通った 小学校
▲公園(屋敷跡)の東方向には、たかしが通った後免野田小学校がある。(地図内⑤)
▲後免野田小学校(※全校児童:約180人)は、近代建造物(鉄道)と歴史的建造物(神社:地図内⑥)と共存し田園地帯の中に佇んでいる。
▲小学校の方針のひとつに「創造力のある子どもを育成する」が挙げられる。21世紀に入ると「高知県青少年読書感想文コンクール:学校優良校」として幾度となく表彰されている。
町並みの隙間を利用した 公園
▲陸の玄関:JR後免駅前の西隣の一角に小さな公園が設けられている。(地図内⑦)
▲自転車置き場(写真左)と路地(写真右)とに挟まれた細長い敷地には、高木とベンチとモニュメントがあるのみ。
▲しかし夏場は程よい木陰をつくりだし、ホームでの列車待ちより涼しい…(※個人の感想です)
▲ちなみに、この公園を誰がどんな目的で造ったのかは不明である。
▲南国市観光協会では年間を通して様々なガイドツアーを実施している。2025年春には、増えるお客人に対応するため新たに16人のガイドがデビューする。興味があれば「オフィシャルサイト」をご覧ください。(※ツアーは事前申し込みが必要)
コメント
生まれ在所から割合手軽に行き来の出来た馴染みの後免の町
言うてすまんが後免の町には目立った名所旧跡景勝地のたぐいは無いと思い込んできたけんど
名所旧跡だけが町の値打ちじゃないねえ
後免の町は舟入川から見てみる
今回こんな視点を教えてもろうたよ
舟入川から町中への道路の傾斜が水を引いていた田園地帯の名残であるとか
田へ水を引いていた用水路が今に残り町なかの狭い路地はかつての田のあぜ道であるとか
参勤交代の街道だった道も残り今も生活道として存在しあちこちに幕藩時代の名残りが見られる
後免の町の道は狭いの通りにくいじゃゆうてくじくっちゃいかんと思い知ったわ
海洋堂さんとこの後免の町のジオラマには見入るねえ
後免に鉄道がつき駅が出来た当時なんやろうか
駅は町から離れて建って周りは田畑
これまた町外れに
やなせたかしさんが身を寄せた親類の柳瀬医院があった
弁当持ちで海洋堂に行き日がな一日ジオラマの実物が見てみたいわ
一見の価値があるねえ
いつもご覧いただきありがとうございます。
人はともすれば「有名なスポット」だけを見て町の優劣を語りがちですが、
見所(魅力)は仰るように名所旧跡だけではないんですね。
視点をちょっと変えるだけで「魅力」を見つけられることが散策の最大の楽しみです。
本サイトでは「〇〇人が押し寄せる…」だけに偏らない視点で
これからも「心の旅」を続けて行きます。