この記事の公開日:2024.02.16
▲新しい年が始まると同時に、国内では厳しい現実が人々を襲ってきた。しかし、季節はその厳しい冬に終わりを告げ確実に前へ向かって進んでいる。
▲春が来たことが最も分かりやすいのが、誰もの心を和ませる「桜」だろう。今回は、毎年開花宣言前に生活道(堤防沿い)で満開となる桜並木の光景(※昨年と一昨年に撮影したカットで構成)をご紹介します。最後には、急遽本日撮影してきた開花の様子も盛り込んでいます。
▲それは、高知市東部の大津地区と布師田地区の境界付近に位置する。ここは大津食品団地の北側にあり、毎年2月下旬になると100mにわたり24本の早咲きのカワヅザクラが咲き乱れる光景が出現する。
▲ちなみに桜の樹は、1998年に大津・布師田地区を中心に発生した「’98豪雨」の後「人々の心が少しでも明るくなれば…」と、地元の有志の手によって植えられたもの。
▲JR四国土讃線の布師田駅:南東方向の目前に見えるのが今回取り上げたスポットだ。桜並木から最も近い位置にある駅だ。
▲しかし、直線距離ではとても近いが、駅から現地までは一旦北方向(新屋敷橋)へ向かい、逆Uの字で対岸のスポットへ行くことになるので、列車で訪れるのはあまりお勧めしない。(※但し、ウォーキング気分で出かけるなら話は別だが…)
その布師田駅周辺の 環境は…
▲布師田駅は、国分川の西隣の田園地帯に高架駅として設置されている。
▲北には御殿山(金山城跡)、東には三宝山を眺めることが出来る絶景のロケーションだ。
見られるのは 早咲きのカワヅザクラだ
▲ここに咲くのはカワヅザクラという品種。(※原木は、1955年に静岡県の河津川沿いで発見された)
▲ところで、多くの桜は日本を北上しながら順次開花していく。これを世間では「桜前線」と呼ぶが、実はこれは正式な気象用語ではないのをご存じだろうか。これはマスコミによる造語で、正式には「さくらの開花予想の等期日線図」という。
▲桜の開花は、ソメイヨシノを観測しその状態で開花宣言がなされている。これは、ソメイヨシノが国内の至る所で生息しているので公平な状態で比較出来るからである。
観光地ではないから…の光景が そこにある
▲ところで「花見」といえば、有名なスポットでは人が混んでしまい、ともすれば「人見」になりがちだ。しかし今回紹介している大津地区の桜並木は、いわゆる観光地ではない。あくまでも生活道なのだ。
▲そのため、専用駐車場やトイレ・茶屋などの施設はない。だから訪れる人々の数は限られており、穴場となるわけだ。
▲桜並木はとても短い距離ではあるが、地元のマスコミがこぞって取材(告知)するため、地元(特に高知市)では有名な桜のスポットとなっている。(※もちろん、アマチュアカメラマンだって抜かりなく…)
桜並木の楽しみ方は 人それぞれ
▲その桜並木は、時にはジョギングコースとして活用されたり…。
▲結婚式の前撮りシーンとして活用されたり…。
▲絵画のモチーフとして活用されたり…。人々は各々の楽しみ方を知っている。
ピンク・黄色・青のコラボレーション
▲樹の数が少なく、距離が短い桜並木ではあるが「重なり合ったピンクの花びら・黄色い菜の花(黄緑色の茎葉)・どこまでも青い空」は画になり、とても迫力があり落ち着く(※個人の感想です)。
▲美しい日本の光景が名もなき堤にある。
では、今年の光景は…
▲この記事の公開日(2024.02.16)の昼、開花状況を確かめに行ってきた。すると、この数日の季節外れの温かい天候の影響でか、昨年より1週間ほど早く開花していた。
▲にも関わらず、人々は何故か開花を知っていたのだった。恐るべし、人の勘!
▲ちなみに、この向こう側は田んぼと畦道があるのみ。ゆえに、Uターンして帰って来ることになる…。
一方、牧野植物園では…
▲先ほど紹介した布師田駅のプラットホームからは、五台山と牧野植物園も眺められる。
▲牧野植物園では4月中旬まで様々な桜が(順次)咲き続け、人々の目を楽しませてくれている。(※組み写真の画像は一例)
コメント
二月中旬に早くも桜が満開との情報は名の知れた土佐人の「いられ」の気性をうつしてピッタリやねえ
まあいくら南国土佐というてもさすがにソメイヨシノの花とはいかんけんど国分川脇の大津地区の堤防に咲くカワヅザクラ見事なもんやねえ
今回紹介のカワヅザクラは世に云う98豪雨のあとに植樹されたものとか
あの豪雨では国分川は堤防が決壊したんじゃなく堤防を越した濁流が大津・布師田地区へ流れ込み水没した格好やったんよねえ
住宅地も田地田畑も一面泥水に沈んだという凄まじい光景やった記憶があるわ
あれから今年の秋でもう二十六年目なんやねえ
俳人中村草田男の名句に
降る雪や明治は遠くなりにけり
があるけど過ぎ去った明治を相当経ってから振り返って詠んだ句かと思いきやうろ覚えやけど確か昭和の一桁時分の句だったんじゃなかったかと
してみると明治を見送ってからわずか二十年そちこちしか経っていない時期の句だったわけで二十年も経つと明治は遙か遠く感じられたかねえ
98豪雨からすでに四半世紀も過ぎた勘定で元号も替わり随分時が経った気がするねえ
さいわいな事に98豪雨以降には国分川は氾濫を起こしてないんじゃない?
驚天動地の災害がきっかけで植えられた国分川沿い大津地区のカワヅザクラ
こののちずっと穏やかな流れをうつす早春の花見どころとして残って行ってもらいたいよねえ
いつもご覧いただきありがとうございます。
よく「時代は巡る」という意味のフレーズが用いられることがあります。
そして「天災は忘れた頃にやってくる」ともいいます。
昨年9月1日に公開したブログ記事で「津波避難タワー」を取り上げた際には、
「まさか、自分が当事者になろうとは…」と思い込みがちな全ての人間に対し「警鐘」を促すテーマが含まれていました。
それが、まさか僅か4ヵ月後に大惨事が発生しようとは誰が予想していたでしょうか。
国分川は「’98豪雨」の後、堤防の改修工事が急ピッチで行われました。
幸いなことにそれ以降氾濫は発生していませんが「南海大震災」規模になると恐らく手の施しようがないでしょう。
メモリアルの性格を含む(国分川沿い)大津の桜並木は美しさと共に、
決して忘れてはいけない「何かとは…」を私たちに語り掛けているようです。