この記事の公開日:2023.04.29
▲前回①でも少し触れたが、万太郎(富太郎)が名教館へ通った道として、ドラマに登場したのがこの道だ。放映時には電線等の現代のモノは、見事な消去・合成が施されていた。(※実際には名教館はこの場所にはなく、この撮影した場所のすぐ後ろ隣にある)
▲この道の途中には、前回①で紹介した金峰神社の表参道がある。今回の主題である牧野公園へは、ここを通り過ぎて奥へと進む。
▲先ほどの場所を少し進んでいくと、ドラマで名教館への入口として登場した階段がある。見覚えあるでしょう⁉。これは、地元の領主:深尾家の菩提寺として建立された青源寺の裏門へ通じる階段だ。
▲階段は、樹木の葉が生い茂る時期には目立たなくなり、通り過ぎてしまう程ひっそりと佇んでいる。
▲その横を過ぎたところに青源寺の正門が目の前に飛び込んでくる。さらにその横を通って行くと、今回の目的地である牧野公園入口に辿り着く。
桜の名所 牧野公園
▲冒頭で紹介したルートと、牧野公園の位置関係はこの通り。なお公園内を見渡せば、桜がたくさん植栽されているのが分かる(※地図では下方が北側:上記イラストは公園内の看板より)。牧野公園は、桜名所100選に選定されている。
▲富太郎は40歳の頃(1902年)、当時高知にはなかったソメイヨシノを、既に居住地としていた東京から故郷の佐川町へ送った。それを地元の有志たちが植栽したのが牧野公園の始まりである。
▲後年、富太郎は「自分の送った心づくしの樹が成長し、故郷:佐川町の町が多くの花見客で賑わえば嬉しかったから」と述べている。(※富太郎の生き様については、後のコラムで詳しく触れる予定です)
▲公園内の上方にある「物見岩」の岩の上に登って眺めた佐川町の町並み。足場が悪くかなり勇気が要った。
▲公園内には遊歩道が整備されているとはいえ、山の上まで歩いて登っていくというイメージ。だから、至る所に休憩所が設けられている。
▲もちろん、現代のお約束フォトスポットも抜かりなく…
▲これらの写真を見ると、ここが花の公園ということを実感するだろう。一年中、様々な種の花が咲き誇りお客人たちの目を楽しませてくれる。
富太郎が愛した バイカオウレン
▲富太郎が特に愛して止まなかった花として、バイカオウレンの名が挙げられる。最初は、自宅の裏山にある金峰神社で見つけたことがきっかけで、その後の人生を変えることになった花だ。ちなみに、漢字では「梅花黄蓮」と書く。左上の梅の花と比べてみると、う~ん、確かに似ている気が…
▲前回①で紹介した金峰神社の撮影時(2022年春)は、富太郎について勉強をし始めたばかりだった。ゆえに、彼に関するエピソードや愛した植物等に関してはあまり知識を持ち合わせていなかった。しかし、この公園の撮影時(2023年春)には、富太郎に関して幾らかは詳しくなっていたので、ご覧のように抜かりなくシャッターを切ってきました。
▲これは、バイカオウレンが咲き誇った直後の時期(4月初旬)に撮影したもの。地上部で広がる葉の形に特徴がある。
▲バイカオウレンの花の形をイメージして作られたのが、「うえまち駅」の天井に設置されたシーリング(照明器具)である。(※うえまち駅については、次回③でご紹介します)
故郷で静かに眠る 富太郎
▲名教館で学んだ(佐川町が誇る)二人の偉人、牧野富太郎と田中光顕。この公園で共に静かに眠っている。ちなみに写真の笹は、富太郎が愛した妻:壽衛の名をつけたスエコザサである。
▲参考までに、アップにするとこんな感じ。
▲富太郎のお墓(向かって左側)だけでなく、隣に建立された田中光顕のお墓(向かって右側)も綺麗に整備されている。
▲山の中の墓所と言えば雑草に覆われているイメージだが、いつ尋ねても綺麗なことに驚いた。
▲お墓だけでなく公園全体が綺麗なのは、ボランティアの方たちが定期的にメンテナンスをしているから。これは、ドラマ化が決定される遥か前から行われているもの。本当に頭が下がります。「ありがとう」と心の中で言って公園を後にした。(※梅雨時の牧野植物園はこちら)
コメント
昭和の末に牧野公園の夜桜見物をしたことがあって公園懐かしく見させてもらったよ
山桜・しだれ桜なども風情があるけど花見だ桜見物だなどというときの桜といえばまあソメイヨシノが通り相場よねえ
20世紀初頭まで高知にはソメイヨシノが無かったとは
今では当たり前に見ている高知のソメイヨシノは牧野博士由来だったとは初めて知ったわ
高知県内の夜桜見物も花見に付き物の酒盛りも牧野博士のおかげかあ!
牧野博士の生家は酒造業やし花見にも酒盛りにもゆかりがあって連想ゲームのような巡り話やね
土佐が狭すぎて時の中枢・都へ出て活躍した龍馬さんにも似て往時の志のある傑物の先見の明や行動力は凄いよね
故郷の高知へ残した貢献度もさすが天下の植物学者・碩学泰斗!牧野博士はスゴイ!
今では県内の至る所で目にするソメイヨシノ。
富太郎博士が苗木を故郷:佐川町(村)に送った後、県下に広まっていったことを今回の探訪を通じて初めて知りました。
やはり、博士の功績は凄いですね。
ご存じのように、現在桜の開花予報で用いられているのが「ソメイヨシノ」。
これは全国どこにでもある品種(基準を統一する)と言う事で採用されたとか。
ところで、動植物名を「学術的名称」として使う場合には「カタカナで書く」と言うのが決まりだということをご存じでしょうか⁉
動植物名は、通常「漢字」または「ひらがな」で書きます。
基本は漢字です。ひらがなで書くのは、常用漢字表や常用漢字音訓表に含まれていない文字が入っている場合だそうです。(NHK編新用字用語辞典より)
佐川公園や牧野植物園などで立札を見たとき、カタカナで記載されているのが不思議だったのですが、このような理由があったんですね。
プチトリビアでした。
学術的名称がカタカナ表記とはこれまた初めて知ったわ
牧野博士関連で新知識が増えて儲けもの
風が吹けば桶屋が儲かる
の伝でいくとこの春からの朝ドラに感謝せないかんね