この記事の公開日:2023.06.14
▲高知県中央部の三宝山中腹にある、1億7,500万年の歳月を有した石灰岩の鍾乳洞:龍河洞。(※山口:秋芳洞・岩手:龍泉洞と共に、日本三大鍾乳洞と呼ばれている)
▲この地域には「土御門上皇が入洞された際、錦の蛇が現れ上皇を案内した」という伝説が残っている。その上皇が乗っていた乗り物「龍駕」が転じて「龍河」になったのだといわれている。
▲ちなみに鍾乳洞とは、石灰岩の間に雨水が染み込み炭酸カルシウムが溶け出し、内部が空洞になった洞窟のことである。今回は、国指定史蹟天然記念物になっている「龍河洞」を訪ねてみた。(撮影:2023年5月下旬:平日)
道程は 快適そのもの‼
▲龍河洞は山中にあるにも関わらず、道程は道路がほぼ平坦で道幅が広く整備されており、予想以上の快適さを味わいながら運転することが出来た。(※最後の500mのみ山を登る:写真右下)
▲今回は、自宅(高知市東端)から龍河洞(香美市:土佐山田町)へ30分(制限スピード厳守)で到着した。過去の経験上、この1.5倍はかかると覚悟していたので「随分道が良くなったなぁ」と実感‼ (※但し、到達時間は交通事情により異なります)
洞窟入口までの環境も 予想以上に整っていた
▲駐車場の広さは広大で「こんなに要るの⁉」とも思えるくらいゆったりしていた。
▲駐車場横のコンパクトな商店街(土産物店や飲食店)を抜け、山の中腹にある洞窟入口を目指す。
▲中腹の洞窟入口までは、階段または程よいスピードのエスカレーターを使って上ることになる。ちなみに入口の高さはビル20階相当の位置なので、断然エスカレーターがお勧め‼
▲周りの地面がエスカレーターに合わせて高くなっていくから怖くないし、何と言っても眺めが最高‼(※個人の感想です)
▲出口は別の場所なので、入洞前に記念写真を一枚‼(※偶然一緒になった知らない方たちです)
▲洞窟は三宝山(海抜:322m)の中腹にあり、総延長4kmの支洞24本が一大迷路を形成している。観光コースは1km(高低差:80m)あり、気温が年間平均が15℃なので冬は暖かく夏は涼しい。
いざ 時空の旅へ…
▲石花殿:小さな鍾乳石が天井や壁一面に広がっており、光を反射する光景がまるで石の花が咲いているように見える。他のエリアの鍾乳石と一線を画す姿は、まるであのSF映画:〇イ〇ア〇の世界みたい。
▲千仭の間:洞内で最も高い天井で、高さが30mあるといわれている。当然天井奥は見えない。
▲雲の掛け橋:水の浸食で石灰岩が削られ弦のようになったもの。時間は見事なアーティストだ。
▲記念の滝:落差が11mある洞内一の規模を誇る滝。当初の洞窟はこの辺りまでだった。1931年二人の男性(学校教諭)が滝の上部(奥)を探索し、現在の出口までの洞窟を発見したことを記念して名付けられた。
▲天降石:15万年の歳月をかけて水が創り出した、高さ11mの鍾乳石である。その下部は、何と他の石と合体している。
▲前の千本:多様な鍾乳石や石荀が空間一杯に広がり、鍾乳石の生成過程を見ることが出来る。こうなるともう生き物の咥内そのもの⁉
▲ところで、どのポイントも単に幻想的に見せるためだけではなく、鍾乳洞内の環境(動植物への影響)に変化を与えないよう、ライトアップする角度や光量等の工夫をしている。
▲玉簾の滝:その名の通り、玉を綴った簾のような形状から名づけられたもの。写真では分かりにくいが高さ6m・幅4mもある巨大な鍾乳石で、今も雫が石を形成し続ける姿を見ることが出来る。
▲双葉山のへそすり石:1939年、横綱:双葉山関が通る際へそを擦り剥いたというエピソードが残されている。ちなみに通常体形のOIRAであっても身体を擦り擦りしてしまったほど…。
▲万象殿:ご覧のように、鍾乳石や石筍等が複雑に入り組んだ造形が特徴。まさに、森羅万象という言葉がピッタリ当てはまる光景である。
▲逢坂峠:龍河洞内の頂上にあたる場所で、天井にはコウモリが生息している。
▲奈落:深さが30mもある底が見えない穴である。(※奈落の底とは抜け出せない状態のこと)
洞内では 途方もない実験が…
▲神の壺:遥か昔2,000年前に弥生人が遺したといわれ、石灰に包まれて固着した弥生土器である。現在、貴重な学術資料となっている。
▲実証実験:1937年、実験のために置かれた壺が今も鍾乳石と一体化し続けている。鍾乳石は100年を掛けても僅か1㎝しか成長しないため、途方もない(時間を超える)実験なのだ。
遥かな時を越えて
▲プロジェクションマッピング:洞窟の出口付近では、時空を越えたストーリーのムービーが流されていた。大規模のプロジェクションマッピングを鍾乳洞で展開したのは龍河洞が国内初だとか。
▲ところで、OIRAより後に入洞し遥か前に追い越して行ったお客人たちが、一斉にカメラを構えて一点を向いて撮る光景の方が、OIRAの目にはとても興味深く映ったのだった。
洞内には 見所がてんこ盛り
▲今回紹介したポイント(地点)の他にも見所がてんこ盛りなので、いつかあなた自身の目で直接確かめていただきたい。
洞窟を出た後にも 見所が…
▲洞窟は入口と出口の場所や光景が全く異なっている。洞窟を出た後は、80m(洞内の高低差)+ビル20階分(エスカレーター)の高さを、自然を満喫しながら緩やかに下って行くことになる。
▲(左上)洞窟の出口・(右上)無料休憩所・(左下)下り専用山道・(右下)山道周囲の樹木林
▲階段やエスカレーターの「登り口」から上を眺めると、洞窟内から湧き出た水が滝のように流れていた。入洞する前には気に留めることがなかったが、出た後に初めて気づいた光景である。
時の博物館を併設
▲洞窟出口から下ったところに博物館が設置されている。館内では龍河洞の生成の歴史や過程だけでなく、洞内に生息する動物の生態研究結果や遺産・遺物等を見ることが出来る。(※入館無料)
さて 帰路はどの道を通ろうか⁉
▲来る時は画面中央の下道を登ってきたが、帰りは(40年振りに)画面左のスカイラインを通ってみることにした。
▲スカイラインからの眺望は画になる風景が拝めたのですが、この模様は改めて紹介します。
コメント
ひところまでいくら蒸し暑い梅雨に入ったといっても六月中に夏日・猛暑日などという言葉が頻繁に飛び交うことはあまり無かったんじゃないろうか
今年も暑い日が続く「ナガセ」になって温暖化も極まれりの感がするねえ
こんなときに涼を求めて龍河洞
グッドタイミングやわ
このブログでは龍河洞内部の見学コース上にある区画の説明が簡潔になされていて画像と相まって流れた時間も何十万年とか気の遠くなるような話やから見入ってしもうてしばし暑さを忘れさせてもろうたよ
子供時分に龍河洞へ行ったとき神の壺のような石灰固着を実験するために昭和の初め頃だかに壺を置いたと説明を受けた記憶があるよ
往時気の利いた知恵者がいたもんよねえ
見学した当時は実験開始からまだ三十年ほども経っていなかった勘定で水に濡れた壺が見えていただけ
神の壺のような兆しが見え出すのにどれほど時間がかかるもんなのかワクワクした気分になったなあ
いま実験開始から九十年近く経って兆しはまだまだらしいね
そらそうよねえ
悠久の時の流れは人一人分の持ち時間では太刀打ちできん話やから後世の人達に楽しみが残って行くのは何とも愉快やね
高知は全国でも有数の多雨地帯だから、とても蒸し暑い地域です。
ましてや今は梅雨の真っ只中。
山中にある龍河洞は、しばし暑さと現実の喧騒を忘れさせてくれます。
ひと昔のような賑わい(一大ブーム)からは少し遠くなってはいますが、秘境と言う訳ではないし道路事情も良いので
「そこへ行くだけで疲れる」という(他の観光地で見られるような)疲労はかなり少ないと思います。
時の流れの中に身を置いて、心癒される時間を持つことはとても贅沢なことですね。
洞内での実験結果を現代生きる人々は決して見ることは出来ませんが、きっと後世への大切な(意味ある)遺構となることでしょう。