この記事の公開日:2024.07.25
▲今回は「プチ旅」の番外編として「全線こぼれ話」をお送りします。まずは動画をご覧ください。(※5種類の専用列車についてはこちら)
▲「42.7km・3市3町1村・21駅」を約80分で結ぶ、土佐くろしお鉄道の「ごめん・なはり線」。
▲前回までオープンデッキ車両による「プチ旅」を、7回にわたって紹介してきました。
▲今回は、未公開のエピソードやシーンを(※動画2本を交えながら)ご紹介します。
JR & 土佐くろしお鉄道とも「走る・はしる」
▲「ごめん・なはり線」を走る列車の一部は「高知駅」発着となっている。
▲つまり「高知駅~後免駅」の区間は「JR土讃線」を走ることになる。
▲ということは…「ごめん・なはり線」にも「JR列車」が走っているのだ。
▲一日一本「ごめん・なはり線」を走る「JR列車」の姿は、ある意味レアかも…
▲さらに「JR土讃線」を走っている観光列車も「ごめん・なはり線」へ乗り入れている。4月~6月および、2024年は10月4日~12月20日の毎金曜日に(一日一便)「高知駅~奈半利駅」間を往復(※予定)している。
▲列車の名称は「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」。レトロ小説の宇宙船(SORAFUNE)と…
▲文明開化期の蒸気船(KUROFUNE)をイメージしたデザインの、二両編成となっている。
単線ならではの 珍しい光景が見られる駅
▲観光列車は車窓からの風景を楽しむため、走行スピードが通常の列車より遅く設定されている。
▲また単線である「ごめん・なはり線」では、後発車両を追い抜かしたり、すれ違い列車待ちのため、一部の(複線)駅で一時停止することになる。
▲中でも「田野駅(複線)~奈半利駅(単線)」の間では複雑な動きを行っている。具体的には次の通り…
▲前記(表②)…清掃時には内部が覗けない工夫がなされている。
折り返す 奈半利駅では…
▲前記表⑦…奈半利町の公式キャラクター「きんめにゃん」がお客人たちをお見送り。
▲ちなみに「きんめにゃん」は、猫が(名物の)金目鯛の被り物をしている設定となっている。
▲駅構内では、お隣:北川村の案山子たちもお客人の歓送迎に一役買っていた。
車掌さんが突然 列車に礼を!?
▲ワンマンカーで運用されることが多い地方鉄道だが、しんたろう2号では車掌さんが「後免駅~赤野駅」の区間乗車しており、その後「赤野駅」で列車を降り乗客に向かって礼をする姿が見られる。
▲この主な理由は、(乗車率などのデータを基に)「赤野駅(安芸市)までの区間は車掌が接客にあたる」ことにしたから。
▲なお車掌さんは、高知方面行き列車をホームで待ち乗って帰ることになっている。(※車掌さんの乗車はしんたろう2号の場合であり、他の列車の場合はランダム乗車となっている)
オープンデッキ車両 豪雨や台風時にはどうする!?
▲太平洋沿いを走る「ごめん・なはり線」の列車は、(例え)豪雨や台風接近時でも運行されている。では、オープンデッキ車両はどうなのかというと…
▲台風の真っ只中などで「運行休止」にならない限り、通常通り「運行」されている。
▲気になったのが、オープンデッキに降り込んだ雨水の行方である。これは、木板の隙間から落ちて排水出来るよう工夫されているので、デッキに出ることが可能だそうだ。(※大雨の日に撮影にチャレンジしようとしたが、危険なため思い止まった)
海岸沿線ならでは…駅のもう一つの役割とは!?
▲このプチ旅では毎回、各駅の「海抜」について触れてきた。これは、高架鉄道であることを強調するだけでなく、もう一つ大きな意味があった。
▲太平洋沿いを走り、さらに大きな河川を幾つも跨いで行く「ごめん・なはり線」は基本的に高架駅であるため、多くの駅が津波発生時の「緊急避難場」に指定されている。
▲さらには駅の数ヵ所に、隣接して「津波避難タワー」が設けられている。出来れば利用しないで済むことを願うが、現実には「その時は必ずやってくる」のだ。
▲乗車の際には、デッキから見られる「津波避難タワーのある光景」にもぜひ注目して欲しい…
食べ物は外せない!?
▲「ごめん・なはり線」には、惣菜・スウィーツ・地元の野菜・特産品・お土産などを販売する「道の駅」や「市場」などが所々に設けられている。駅に隣接しているのが、(西から)「夜須駅」「安芸駅」「田野駅」「奈半利駅」の4ヵ所で…
▲駅の近隣(※歩いて行ける距離)にあるのが「和食駅」である。いずれの店も「生もの」は、午前中に売り切れるほど人気を博している。
▲その生もの(地元の野菜)を使ったのが田舎寿司である。山の幸・川の幸・海の幸など「高知は何でも寿司にする」といわれるほど、県下各地に土佐ならではの寿司が存在している。
▲「田舎寿司」に外せないのが柚子。高知県は柚子のシェア全国一位(50%)を誇っている。
▲ゆのす(柚子の果汁)とゴマと刻んだ生姜を混ぜた「すし飯」に対し、「食材」の多くが通常より甘めに味付けされている。
▲生まれた背景…森林率が日本一(84%)の高知県の山間部では手に入りにくかった海の幸ではなく、身近にあった山の幸を使い独特の食文化を育んできた。
▲近年は、生魚が苦手でヘルシー志向の外国人たちにも、土佐寿司は人気を博している。
オープンデッキ車両ならではの 醍醐味とは…
▲ルートの数ヵ所では、樹木と車体が擦れるくらいスレスレの位置を走り抜けて行く。
▲季節によっては、桜が目の前を猛スピードで駆け抜けて行く。
▲デッキから窓ガラスに目をやると、鏡面反射の美しい光景も見られる。
▲オープンデッキ車両を見かけると、人々がよく手を振ってくれる。思わず、お客人も手を振り返すという「一期一会の出会い」を楽しめるのも列車旅の醍醐味のひとつだ。
▲お客人たちが必ずカメラを構える「琴ヶ浜」の眺望を動画でご覧ください。
コメント
観光列車と通常運行列車とのもつれ合うような行きつ戻りつの行き来が見られる田野駅~奈半利駅の往来
まるで土佐の酒席でのお猪口・盃の類のやり取り
さしつさされつみたいで下戸の老生には想像しただけで酔っぱらいそうやがハタ目には充分楽しめそうな光景やね
しんがり駅手前での複雑な動きを考えついたのはこじゃんといける口の御仁かねえ
台風銀座と知られ豪雨にもさいさい見舞われる南国高知土佐湾の沿岸地域をぬうように走るごめん・なはり線
なまじの豪雨や台風接近時でもよほどの事がない限り運行されているようでさすがに豪気なもんやね
さらに多くの駅が津波発生時の緊急避難場所に指定されているとはなるほどと思わされたわ
このシリーズ各駅の紹介に海抜が表示されてきていたけどそういうことかと今更ながら合点したよ
線路の近くには津波避難タワーも点在しているとか
いやでもこれらの備えが活かされる時が来ることになるのは南国土佐の地理的宿命かねえ
土佐の田舎寿司はなんとも懐かしい!
老生の記憶の底にある土佐の家庭料理としての寿司
田舎の神祭や祝い事・折れ口などの不祝儀での自家製寿司飯は今風の酢をケチッた寿司飯と違ってこれがたまるか!というばあ酢を効かした飯やったよ
それも存外甘め!
てんりやすう握れんばあビショビショの酢飯!
最後の琴ヶ浜の眺望動画はごめん・なはり線への旅心を誘うこのシリーズの締めにふさわしい沿線を代表する景色やね
土佐人海の向こうはアメリカよ!と豪語する土佐湾の雄大さを余すことなく映し出した映像
特に振り返りの景色が秀逸
やっぱり動画はものいうねえ
いつもご覧いただきありがとうございます。
「田野駅」と「終点:奈半利駅」間で見られる観光列車と普通列車の(一見)複雑な運行。
乗客としてではなく、普通列車の乗客(見学者)として俯瞰で観光列車を眺める場合には…
(1)田野の町並みや田野駅屋などを楽しんだ後「田野駅」のプラットホームで車内清掃中の観光列車を撮る。
(2)後から到着した普通列車に乗り「奈半利駅」へ向かう。
(3)「奈半利駅」のプラットホームで、再び乗客を乗せて出発する(復路の)観光列車を撮る。
(4)町並みや駅前の公園などを楽しんだ後、普通列車に乗って高知方面へ戻って来る。
という流れ(スケジュール)が考えられます。
実際、記事に掲載した観光列車を撮影する際には、お客人がそのような行動をとっているのを目撃しました。
さて、次回は9月~11月の毎週金曜日に運行される予定の観光列車。
陽が短くなる秋口には「琴ヶ浜」辺りで太平洋に沈む見事な夕陽を拝めるかもしれません。
ところで「津波避難タワー」の設置数が国内では二番目に多い高知県。
この「津波避難タワー」については、8月下旬「過去の水災害から現在の防災を考える」をテーマにした記事でご紹介する予定です。
そして、高知県の生活環境から生まれ県下全域に根付いた「土佐寿司」と「田舎寿司」。
これについてもさらに取材をすすめ、何時かご紹介したいと考えています。