
この記事の公開日:2025.02.22

▲今回は、「他の町とは一線を画すものとは⁉」を視点にした室戸市:吉良川町の第二弾です。

▲吉良川町の町並みは室戸ユネスコ世界ジオパークの一画で、浜街道沿い(旧街道)に形成されており…

▲東の川と西の川に挟まれた地区は、国の重要文化財として県下初の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。

▲町の中心部にある御田八幡宮をはじめ町家が建ち並ぶ旧街道の界隈では、住民が一体となった地域活性化のための取り組みが行われている。今回ご紹介する「雛まつり」はその一つである。

▲現在では、高知東海岸6市町村(安芸市・安田町・田野町・北川村・奈半利町・室戸市:吉良川町)で開催される「土佐の町家雛まつり」の一環となっているが、最初に始めたのは室戸市:吉良川町である。

▲その取り組みを県東部の各市町村が取り入れ、合同で開催されるのが「土佐の町家雛まつり」なのだ。

▲春先になると、各地で様々な雛まつりが開催されるが…

▲「町家を活かした雛まつり」を県下で最初に行ったのが吉良川町ということを知る人は多くない。

▲ちなみに町家とは、店舗と居住のための住宅が併設された建物のことであり、土間を構えて出入口としていたのが特徴である。

▲奥には居住する空間を設け、客間は(建物奥の)中庭を望める場所に設置されるのが一般的だった。(※町家のある町並みの詳細記事はこちら)

※記事の写真は、2024年3月初旬に撮影したものを中心に構成しています。
他の雛祭りとは 大きく異なる展開方法とは

▲毎年3月1日~3日に開催されている「吉良川の町家雛まつり」は、その名が表すように普通の雛まつりではない。

▲重要伝統的建造物群という町並みを活かし、約70軒の町家の軒先・入口・土間・座敷などへ(大正時代から現代まで)時代を経てきた人形が飾られている。

▲普段は目にすることが出来ない古い建物の屋内にまで足を踏み入れてみる…。(※但し、入って眺められるのは雛人形が飾られた家屋のみ)

▲そして、町並みが時代を経た博物館のような空気感を味わいながら散策できるのが大きな特徴となっている。

▲来場者の居住区域別一覧(左:2024年3月2日・右:同3日 / 各午前10時頃)
※(上から)吉良川町内・室戸市内・高知県内・県外
普段は静かな町並みに 様々なお客人たちが


▲美しい光景に、誰もが思わず「パチリ‼」

▲毛氈の朱赤は、それだけで空間を華やかに…

▲若者たちの姿が目に飛び込んできたと思ったら、遠くアジア圏からのお客人…
工夫された展示方法に 圧倒される

▲玄関先でお出迎えしたり…

▲屋敷の造りをそのまま活かしたり…

▲奥の座敷まで展示したり…

▲何はともかく、他人家の庭や…

▲座敷を覗き込めるのは都会では考えられない!?。(※但し、入って眺められるのは雛人形が飾られた家屋のみ)
吉良川特産の備長炭も 大活躍⁉

▲前回「吉良川町① (明治時代にタイムスリップ)」で紹介した、この町の特産品「土佐備長炭」。

▲本来の使用方法だけでなく、様々な製品に活用されている。

▲もちろん、雛人形にだって変身してお目見え。

▲そしてこちらは…赤い布の下に用いている大皿は、土佐名物の宴会に欠かせない皿鉢である。

▲本来、皿鉢はご覧のように色んな料理を盛り合わせて使う代物。土佐備長炭の雛人形は土佐の特産品同士のコラボとなっている。
さらにユニークな お雛さまも多数

▲お屋敷の中庭の池の側で寿司桶に乗ったお雛さま。

▲地元の保育園園児たちによる力作。

▲昨年の大河ドラマ「光る君へ」にインスパイアされた作品。

▲昔の生活をジオラマで表現した作品。

▲おとぎ話「竹取物語」にインスパイアされた作品。

▲高知県の特産品である土佐和紙で作られた作品。(※よさこい踊り他)
地元の子どもたちによる ひな行列


▲地元の子どもたちが「お雛」「め雛」「五人囃子」などに扮し御田八幡宮を出発した後、町中を練り歩いて町家雛まつりに華を添えた。

▲華やかといえば、それをアマチュアカメラマンたちが放っておく筈はなく…

▲もちろん、我が子の晴れ姿を残そうとする姿も…

▲皆さんお疲れさま、そしてお役目ご苦労さまでした。

▲2025年の「吉良川の町家雛まつり」は、3月1日(土)~3日(月)の三日間開催される。(※子ども行列は1日・2日のみで、まつり期間中は各種屋台が町並みの中に登場する予定)
お遍路さんだって 楽しむ!?

▲ここ吉良川町は、第二十六番札所:金剛頂寺と第二十七番札所:神峯寺との道中にある。

▲歩き遍路さんだって雛まつりを楽しみ、しばし疲れた身体と心に癒しを…

▲癒された後に…

▲さぁ目指すは、次の札所:神峯寺(安田町)だ。どうぞご安全に…
コメント
今ではめったに使うことも無くなった言い回しで陶器や道具類が年月を経て古びた色合いを帯び渋さなどの趣が出ているさまを
時代がついている
という風に表現したもんやけどもう古典落語での客と商売人との掛け合いぐらいでしか聞くこともなくなったねえ
昔からの日本家屋の家並みを「時代がついている」と表現するのはどうかと思うけんど室戸市の吉良川町の町家の家並みはまさしく時代がついていると表現したくなる風情よねえ
雛祭りが近いてくると各地で雛人形をたくさん集めた展示開催のニュースを目にするけんど大概お宮さんや広い展示場で寄進を受けたり持ち寄ったりした多くの人形が飾られてというような催しとなっていることのように見受けられるけんど吉良川町の雛まつりはかつて繁栄していた町家を利用しての落ち着いた趣があるなかに往時の栄耀が偲ばれる絵になる光景やねえ
栄華を誇った町のあでやかな展示は貴重で嬉しいねえ
祭りで練り歩く光景はともするとおとこしのイメージがあるけんど吉良川町のひな行列はお嬢さんたちの晴れ姿を披露できるお練りで華やかなねえ
吉良川の町家雛まつり
この光景はずっと続いて行って貰いたいねえ
今回もご覧いただきありがとうございます。
「時代がついている」初めて聞くフレーズですが、何とも「粋」というか「いい響き」ですね。
(今では)地方の町とはいえ、風情がある町並みと呼べる風景に出逢うことは少なくなっています。
町家群の中に身を置いて、かつて繁栄した時代に思いを馳せると時代の移り変わりを否応なく実感します。
そして、「この光景を次の世代に引き継いでいくことが現代に生きる私たちの使命なのだ」とも考えさせられます。
そうしないと、一度失われた歴史的光景は写真でしかお目にかかれなくなくなってしまいますね。