この記事の公開日:2024.09.20
▲人間が持つ八十八の煩悩を一つずつ消しながら心を清めて行く「四国遍路」。その巡礼はどこから始めても、また(複数回に分けて巡礼する)区切り打ちでも構わないといわれている。
▲このシリーズでは高知県内にある全札所16ヵ寺の内、11ヵ寺(約118km)を区切り打ちで巡りながらご紹介していきます。スタートは、四国の右下:第24番札所:最御崎寺(室戸市)から…
▲高知県は距離に対し札所の数が少ないため、別名修行の道場とも呼ばれている。
▲室戸市には霊場が3ヵ所あるが、いずれも設置位置が海成段丘や丘などの高地に設けられている。
▲今回訪れる最御崎寺は正式名称を「室戸山 明星院 最御崎寺」といい、一番札所:霊山寺(徳島県)から順打ちで巡る際の高知県で最初の札所である。
▲駐車場から参道(坂)を5分ほど歩いて行くと、亜熱帯植物林に囲まれた山門(仁王門)に辿り着く。
最御崎寺とは
▲弘法大師(空海)が若い頃(19歳)、室戸岬近くの御厨人窟で修行し悟りを開いたことはお遍路の旅①で触れた通り。
▲後年、遣唐使として渡っていた唐から帰国した弘法大師(空海)は、再びこの地を訪れてお寺を建立し本尊とする虚空蔵菩薩像を刻んだ。それを安置したのが最御崎寺の始まりとされている。
▲山門に設けられた一対の仁王像(金剛力士)。阿吽の相をしており阿形は物事の始まりを、吽形は物事の終わりを表している。天魔や悪魔などの侵入から寺を守る番人として睨みを利かせている。(※神社の場合、狛犬がそれに相当する)
▲室戸では、東西に対峙している第26番:金剛頂寺を西寺と呼ぶのに対し、ここ第24番:最御崎寺を東寺と呼んでいる。
全国的に名の知れた 鐘楼堂
▲袴腰造の鐘楼堂は、土佐藩二代目藩主:山内忠義公より寄進されたもので、1648年に建立された。
▲かつては、某国営放送の「ゆく年くる年」に何回も登場(除夜の鐘)しその名を全国区としたが、現在では新しい鐘楼堂にその役目を譲り使用されていない。
▲鐘楼堂の前に設置された石板が同時の活躍を物語っている。
▲これが現在活躍中の鐘楼堂である。
昨今 お遍路さんは 老若男女が当たり前
▲参拝は先ずその寺のご本尊を安置している本堂から。(※最御崎寺の場合、ご本尊は弘法大師(空海)が御厨人窟で刻んだ虚空蔵菩薩である)
▲参拝時に菅笠はとらなくてもいいが、帽子はとる必要があるのでご注意を。
▲次に参拝するのが弘法大師(空海)が安置されている大師堂である。(※本堂が参拝者で混んでいた場合は、大師堂からでも構わない)
▲明治初年までは女人禁制だった最御崎寺。現代では、老若男女のお遍路さんたちの姿は珍しくない。そこに各々の人生を背負っている姿があると思うと、何とも厳かな雰囲気がある。(※正式な参拝手順などは公式HPでご確認ください)
境内で見られる「空海の七不思議」のひとつ
▲大師堂の前には、空海の七不思議のひとつ鐘石がある。
▲叩くと「キーン」という澄んだ鐘の音がするが、その音は冥土にまで届くといわれている。
▲鐘石表面の凹みは、長年参拝者たちにより叩かれ続けたため出来たもの。本当に神秘的である。
牧野富太郎博士が命名した 珍しい植物
▲その姿が、奴の群れが練り歩く姿に似ていることから名づけられたヤッコソウ。山門裏の樹木の根元に自生(11月下旬が見頃)している。
▲椎の木などに寄生するので、葉緑素を持っていない(光合成をしない)珍しい植物。
▲県内では、西部と東部の一部地域のみに分布している。なお、県の天然記念物に指定されているので採集してはいけない。(※室戸市内では、最御崎寺と金剛頂寺の境内で見られる)
▲ちなみにその(巨大な)オブジェが、最御崎寺を少し北上したスカイライン沿いに設置されている(※牧野植物園にもオブジェがある)。もちろん、オブジェは季節に関係なく見られる。
あまりにもロマンティックな 恋人の聖地
▲最御崎寺のすぐ近く(海側)にあるのが室戸岬灯台だ。四国の右下に位置し、絶景が見られる灯台エリアは知る人ぞ知る恋人の聖地になっている。
▲恋人の聖地とは、NPO法人:地域活性化支援センターにより選定され、地域の魅力づくりと活性化を図るためプロポーズにふさわしいロマンティックなスポットとして展開されているもの。
▲しかし、恋人の聖地といえども個人で訪れても見応えがあるし…
▲友人同士で訪れても楽しいし…
▲お遍路さんだって、スルーするにはもったいない⁉スポットである。(※灯台内部へは、11月初旬に開催される室戸岬灯台まつりのみ入ることができます)
▲もちろんアマチュアカメラマンたちだって、そこは抜かりなく…
▲ちなみに室戸市内では、次のような3ヵ所が恋人の聖地として認定されている。
▲先ほど紹介した室戸岬灯台。室戸岬灯台まつりの詳細はこちら
▲360度の大パノラマを楽しむことができる室戸スカイライン山頂展望台。
▲ジオパークが間近に一望できる室戸岬展望台。今も隆起し続けるジオパークの詳細はこちら
コメント
若い頃は名所旧跡へドライブに出掛けても寺社への参拝が何やら抹香くさく感じ敬して遠ざけるという風情に終始した老生
年を経て老い先短い身の上となり八十八箇所巡りでもと思い立つ頃には足腰が覚束なくなり四国に住みながらついにまともなお遍路旅をしないまま泉下の客となりそうな塩梅
信仰心の授かり漏れも極まれりと観念するに如くはないところ
生を受けた南国土佐の札所巡りを室戸の最御崎寺からブログで見せてもらえるとはいい時代に立ち会えて有り難い限り
順打ちで徳島・高知の県境から紀伊水道を左に見て室戸岬に向かう道中は平地が少なく昔のことなら波洗う海岸沿いを長く歩く旅程だったんやろうなあ
阿波と土佐の国境から遥かに望む室戸への街道は難儀やったろうと想像され最御崎寺に着いた順打ちのお遍路さんの安堵の思いは如何ばかりやったろうかねえ
信心の力は凄い!
ドレスコードがさほど煩わしくなく各々好き好きの旅装束で参拝する今のお遍路さん
古来からの仕来り所作さえ遵守すれば気楽に巡礼して行けるように見受けられ他人事ながらいい時代やなあと感じ入る次第
この先も巡礼のブログ旅に同行させてもらい遍路旅を楽しませてもらうわ
いつもありがとうございます。
徳島県最後の札所「薬王寺」から75kmあまり離れた位置にある「最御崎寺」。
海を左手に見ながら長旅となります。
高知県最初の札所である「最御崎寺」は室戸岬の山の上にあるため、そこで歩き旅はひと休みとなってしまいます。
ゆえに最御崎寺には宿坊が設けられています。
早朝、札所を後にスカイラインを下って行く歩き遍路さんの姿は、この地お馴染みの光景となっています。
撮影で訪れるたび歩き遍路さんを見るにつけ、自分には出来ないだろう苦行(自己研鑽)の旅姿に頭を垂れ
「気をつけて旅を続けてくださいね」と、後ろ姿に向かって心の中で念じていたものです。
道路事情が随分良くなったとはいえ、1,400kmのほとんどを歩いて巡礼するのは想像を絶します。
しかし、その姿に励まされる自分を再発見するのが、私なりの巡礼(撮影)の旅!?となりました。