この記事の公開日:2023.07.14
▲誰もが幼い頃よく耳や口にした童謡。多くの童謡を作曲した一人が弘田龍太郎である。彼は1892年、高知県東部の中心都市:安芸市の土居村で生まれた。(※土居地区:土居廓中の詳細はこちら)
▲安芸市は積極的に、童謡に特化した町「童謡の里づくり」を進めてきた。
▲それは、1978年:当時の安芸市観光協会会長が「弘田龍太郎が残した、童謡という素晴らしい遺産を大切にするため、碑を建てよう‼」と呼びかけたことに始まる。
▲今回は、曲碑(10ヵ所)全てを巡りながら「曲碑」がある光景や「独自の取材」で判明したトリビアをご紹介します。(※曲碑は名所・旧跡にあるため、観光しながら市内を巡ることが出来ます)
▲地図上の番号は曲碑が建立された順番および曲目ですが、今回の紹介記事は順不同となっています。(※撮影:2023.7上旬~中旬)
▲曲碑には、自動で「音声ガイド:曲」が流れる機能が設置されている場所と、(※大人の事情により)設置されていない場所があります。なお記事内のSE(BGM)は、実際に流れているものとは異なります。
♪靴が鳴る(安芸駅前広場)…音声ガイド有
▲安芸市:陸の玄関口である安芸駅。第三セクターの土佐くろしお鉄道が運営する「ごめん・なはり線」の中でも、この駅を発着する列車の便数は多い。ちなみに、車輛の夜間滞泊はこの駅で行われている。
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
♪金魚の昼寝(江ノ川上公園)…音声ガイド有
▲道路の構造上、国道と画面奥(北)とを行き来するには、(通常)画面左手の新道を通ることになる。そのため「わざわざ」でない限り気づかれ難い場所にある。
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
▲ネットでは、側を流れる川の名前を「江の川」と記載しているものがあるが「江ノ川」が正解。そして、碑があるのは「江ノ川上公園」である。
♪雀の学校(土居橋)…音声ガイド無
▲市内最大級のホテルから歩いて1~2分の場所にあり、生活道の一部となっている橋。車で通ると、行き過ぎてしまうかも…。
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※実際には音声ガイドは設置されていません)
▲ここに竹久夢二のレリーフがあるわけは、その昔弘田龍太郎の歌集(印刷物)を作成する際、表紙のイラストを描いてもらったことを記念したことによる。
▲竹久夢二と反対側の欄干には、番外編となる「三日月」の曲碑が…。その理由を市役所に問い合わせたところ、市側でも不明とのことだった。(※市側の対応はとても親切丁寧だった…感謝‼) ちなみにこの橋は、地元では雀橋の愛称で親しまれているそうである。
♪お山のお猿(浄貞寺)…音声ガイド無
▲浄貞寺は、長宗我部元親との戦いに敗れた安藝國虎と、その安藝一族を祀る菩提寺である。(※長宗我部元親の詳細はこちら)
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※実際には音声ガイドは設置されていません)
▲曲碑に用いられている石は、内原野公園に建立されている「咲いた桜に」の石を二つ割りにした片方が用いられている。
▲國虎の墓は1953年:高知県保護有形文化財に指定されている。
♪春よ来い(岩崎彌太郎生家前)…音声ガイド有
▲安芸市が生んだ郷土の偉人の一人が岩崎彌太郎である。(弘田龍太郎の)曲碑のひとつが(彌太郎の)生家前に建立されている。(※岩崎彌太郎に関する詳細はこちら)
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
▲大河ドラマ「龍馬伝」で取り上げられた後はお客人の数が溢れかえっていたそうだが、今ではここを訪れる人の数は少なく、本当に落ち着いている。
♪鯉のぼり(溝ノ辺公園)…音声ガイド有
▲周辺にある野良時計・ヒマワリ畑・土居廓中等を訪れたお客人のための、無料駐車場の一角にある溝ノ辺公園にある曲碑。集会所の下は、陰になり風通しも良いため、昨年の夏には昼寝をする光景を時々見かけた。
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
▲(※野良時計・ヒマワリ畑に関する詳細はこちら・※土居廓中に関する詳細はこちら)
♪叱られて(土居公民館)…音声ガイド有
▲土居廓中や安芸城址へ歩いて巡る道の途中にある曲碑。碑には、漫画家でタレント活動もしていた高知県土佐山田町出身:はらたいら氏のイラストが描き添えられている。
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
▲中央の建物が武家屋敷群で、後ろの小高い山が安芸城址である。(※安芸城址の詳細はこちら)
♪咲いた桜に(内原野公園入口)…音声ガイド無
▲街中を見下ろす山中にある内原野公園。元々この公園は、この地を治めていた五藤氏が藩政時代に遊園として整備したものである。(※五藤氏に関する詳細はこちら)
▲公園のシンボルである弁天池の山沿いには、ツツジ・アヤメ・菖蒲・藤・桜・梅等の花群が四季折々に咲き乱れる。また公園の周辺には、特産:内原野焼き(陶器)の4つの窯元が集中している。
▲曲碑の石は、浄貞寺に建立されている「お山のお猿」の石を二つ割りにした片方が用いられている。
▲山中の田園地帯において太平洋まで望める光景は必見‼
♪浜千鳥(浜千鳥公園)…音声ガイド無
▲大山岬の記事で紹介した浜千鳥公園。元々は音声ガイドが設置されていたが、このスポットは荒天時には高波が乗り越えてくることがある。故障の憂き目に遭い撤去された。(※大山岬の詳細はこちら)
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※実際には音声ガイドは設置されていません)
▲撮影中は誰もが危険をものともせず、つい夢中になってしまうのが常。(かく言うOIRAだって…)
♪雨(赤野休憩所)…音声ガイド有
▲県東部と(高知市等)県中央部を行き来する際、疲れた身体と心に癒しを与えてくれる休憩所。最近、琴ヶ浜の記事でも紹介した絶景スポット。(※琴ヶ浜の詳細はこちら)
♪曲をお聴きになる場合は、下のPlayボタン(▶)をクリックしてください。(※曲調は実際に流れるものとは異なります)
▲東屋の上には、内原野焼きの茄子が乗っかっている。
土佐電鉄:安芸駅跡のカリヨン時計
▲安芸市営球場(タイガース球場)南の港沿いの公園には、市の木である檜と特産の柚子をモチーフにしたカリヨン時計(からくり仕掛け付)が設置されている。(※カリヨンとは、鐘楼などの塔状の建築物として設置される楽器のこと。その多くは時計と合体し、時報を流す目的で設置されている)
▲オブジェ(カリヨン時計)のサイズは、高さ8.5m・直径5m(球体の直径は1.2m)である。3つの球体には、弘田龍太郎の代表作である「靴が鳴る」「雀の学校」「お山のお猿」のからくり人形が収められている。季節や時刻により、彼の作品の中から50曲が演奏される…ハズ⁉
▲しかし、撮影時(2023.7.11の定時)に鳴ることはなかった。そこで、市役所に問い合わせてみた。その結果「コンピュータの故障により停止中で、復旧の時期は未定」とのことだった。
▲オブジェ前に設置されたプレートに印刷されているからくりを紹介したのが右側のカットである。(※あ~ぁ、実物を見てみたかったのに残念‼)
電車が通っていたことは 遠い昔に…
▲カリヨン時計が設置されている公園は、元々列車の(東部における)終着点:安芸駅だったが、国策により1941年に土電(※土佐電気鉄道)が国から譲り受けることになった。
▲当時、列車は南国市:ごめん町との間(26.8km)を走っていた。電化されたのは8年後の1949年。電化後には(ごめん~安芸の)所要時間は半分に短縮されたという。安芸線は、将来的には四国循環海岸鉄道の一部となる予定の重要な路線であった。
▲しかし時は経ち、車の普及に反比例するように利用者が減少。ついに1974年3月31日、長い歴史の幕を閉じたのだった。(※その後、レールやプラットホーム等が撤去され、駅舎も老朽化により1995年11月末には完全にその姿を消した)
※音源は著作権フリーのサイト「童謡・唱歌の世界」の中から加工して使用
コメント
弘田龍太郎きたねえ
安芸市内にある歌碑全部廻ったとのこと
足腰弱ってきた老生には現地に足を運んだような気分にさしてもらってありがたい
弘田龍太郎の曲は覚えやすく歌の題名がスッと出てくるものばかりやけど「赤いべべきた可愛い金魚・・・」と歌い出す曲の題名は「金魚のひるね」なんやね
老生はかねがね「金魚のうた」やったかなぐらいに覚えていたのでこのたひ題名を再認識したわ
老人特有チョッとずれた思い込み・うろ覚えをしているもんやと今更ながら可笑しかったわ
歌碑はいろんな形の石碑などで楽しめるねえ
それぞれ意匠を尽くした歌碑で味わい深く一つひとつにコメントしたいけど長たらしくなるので涙をのんで割愛!
そのなかでも老生は「叱られて」が気に入ったねえ
郷土出身の奇才
はらたいらさんのイラストは歌にピッタリで秀逸!
はらたいらさんも懐かしいねえ
本業の漫画は軟らかめで才にあふれ軽妙にして洒脱博覧強記で抜群の勘の冴えがありクイズ番組などで一世を風靡したけど若くして泉下の客となり惜しんで余りある人材やったねえ
雀の学校の曲碑がある土居橋には竹久夢二のレリーフがあり弘田龍太郎の交流の広さもうかがえるし地元では雀橋との愛称で呼ばれるなど今でも親しみを持たれているとは弘田龍太郎作曲家冥利に尽きる話やね
かねての鉄道の終着点やったところに設置されているカリヨン時計のからくりが故障していたのは残念やけど安芸への鉄道の成り立ちにまたビックリ
古希の老生には安芸市に乗り込んでいた列車は土電の安芸線との認識やったけど土電の前に鉄道・当時は省線かな?安芸線が走っていたんやねえ
初めて知ったよ!
旧鉄道安芸線の駅舎などの白黒画像は趣があるねえ
老生贔屓の原節子さんが出演していた小津監督作品の晩春などで見た鉄道景色に似て時代を感じ年寄りにはたまらんねえ
このブログは老生のお宝やわ
いつも細部までご覧いただき、ありがとうございます。
「弘田龍太郎」の名は知らなかったとしても、曲を聴くと「あぁ~、あれか‼」と言えるものばかりではないでしょうか。
曲碑の文字を読んだだけでは分からなかった童謡も、曲(記事内に設けたSE:Sound Effect)を聴くと鮮やかに記憶が蘇ってきました。
ところで「はらたいら」さんの名前はとても懐かしいですね。
本業の漫画家をはじめ、一時期TVタレントとして大活躍だった方ですね。
今の若い方はご存じないかも⁉
また今回は、今は無き「安芸線」のエピソードにも迫ってみました。
その遺構は、今は「カリヨン時計」と姿を変え国道55線沿に佇んでいます。
高知方面から室戸方面へ行く場合「タイガース球場」前の交差点の信号に掛かってしまい、(ほぼ)信号待ちとなるポイントです。
その際、右手(海側)に目をやると、大きなからくり時計があることは昔から知っていました。
しかし、それが「弘田龍太郎」と関係しているとは全く知りませんでした。
毎回取材の度に何らかの(新しい)発見があり、新鮮な気分を味わうことが出来ます。