
この記事の公開日:2026.08.25


▲土佐湾沖では現在も、海側のプレートが陸側のプレートに潜り込み「歪み」続けています。

▲それが限界に達したとき、跳ね返って発生するのが「南海トラフ地震」です。地盤が上下すると、海底から海面までの海水全体を動かしその変化が周りに波として広がり、やがて「津波」となります。


▲板状の高知県は今も地震の度に東西両端が持ち上がり、反作用で中央部が沈み込んでいます。

▲県中央部に位置する南国市は、英知を駆使して自然の驚異と闘い続けています。

あの歴史的出来事を きっかけに…


▲写真は、壊滅的な被害をもたらした「東日本大震災」で…

▲これは、宮城県仙台空港付近の地図である。

▲そしてこれが、高知龍馬空港付近の地図である。

▲地形と環境が、とても似ている。


▲南国市では、物的損壊を無くすのが不可能ならば、人命をひとりでも多く守ろうと「減災」という取り組みを推進している。

▲例えば「津波浸水予想地域」では、各民家から徒歩5分以内に避難できるよう、半径300m毎に津波避難タワー(以下タワー※)を建設してきた。(※命山がない場所において)


▲歴史的に何度も大津波の被害を受けてきた高知県であっても「津波避難タワー」は元々4基しかなく、南国市に至っては0基だった。

▲それが「東日本大震災」を機に県全体では126基まで増え、南国市には15基※が設置された。(※正確には16基ともいわれるが、詳細は次回に)

▲南国市の全津波避難タワーは(基本的に)常時解放※されている。これはイザというときパニックにならないよう、普段からタワーに慣れ親しんでおいてもらうためである。(※ただし、備蓄倉庫など各室の施錠は行われている)



▲このシリーズ(8~10月:全4回)では、南国市のタワー全15基を実際に巡りながら「津波災害」への取り組みを深掘りしてみよう。
まずは ⑮スポーツセンタータワーから



▲このタワーは、地震と津波災害の教訓を何時でも学べる「防災パーク」の一角を成している。


▲そのため近隣の掩体とセットで、県内外からの研修や修学旅行のカリキュラムなどに活用されている。



▲本来津波避難タワーとは、近隣住民が津波から一刻も早く避難するために設けられたもの。

▲しかし、このタワーは広大な田園の真ん中に…。

▲ちなみに、タワー最上階からの眺望はご覧の通り。

▲この田園の中に、わざわざタワーを造ったわけは…



▲スポーツパークの利用者たちがイザというとき、一刻も早く避難するために他ならない。
ピクトサインが 表すものは⁉

▲ところで、津波避難タワーには必ずこのようなマークが掲示されている。これは、ここが「津波避難場所」であることを表している。

▲よく混同されがちなのが「津波避難場所」と「避難所」である。

▲「津波避難場所」とは、緊急避難する場所(※建物・高台・山など)のことで…

▲その後、短中期的に人々が避難生活を送るところが「避難所」である。言い換えると、救援物資や医療救援が来る施設が「避難所」ということになる。

▲通常、避難場所には最低限(※1~2日間分)の飲料用PB・簡易BED・簡易TOILETなどしか備えられていない。(※ただし、各備蓄量は避難者全てを賄えない。詳細は次々回に)

▲今住んでいる場所から、どの避難場所へ逃げればよいかが分かる方程式がある。

▲このタワーの場合:③避難場所までの必要時間=⑤津波予想到達時間-(①揺れの(最大)時間+②自宅を出るまでに必要な時間+④避難場所に着いてから上る時間)となり、計算上23分以内の位置に居る人は間に合うことになる。
このタワーならではの 工夫を紹介…


▲まず、避難完了時には必ず「左右のゲートを閉める」ことになっている。


▲津波は相当のエネルギーを持っている。そこに浮遊物が加わり、あらゆる方向から襲ってくるので大きな破壊力となる。

▲このタワーは「本体」の倒壊を防ぐため、超大型ならではの工夫が随所になされている。

▲例えば、「本体」部分は地中十数メートルまで杭を打ち…

▲さらに地盤部分は数メートルの厚さのコンクリートで固め、波の浸食を防ぐ対策が。

▲また、避難者が滞留する「本体」と…

▲不安定な形状の「外階段」はあえて固定せず、外階段部分が倒壊する造りにしている。

▲つまり、外階段部分には杭打ち※をしていないのだ。(※もちろん法律遵守)

▲ちなみに、外階段(※幅7m)は海側に設けられている。これも津波や漂流物からのエネルギーを少しでも軽減させ、本体を守るための工夫である。

▲先ほどの「門扉を閉める理由」は、避難した人が誤って落下しないようにするためである。
階段に隠された 工夫とは⁉

▲エレベーターは無く、避難時には外側のスロープまたは内外の階段を使用することになるが…

▲誰もが階段を無理なく上れなくてはならない。

▲そこで一段当たりの高さと奥行は、小学校の階段と同じ造りになっている。

電気が断たれた 後は⁉


▲イザというときのために、発電は太陽光方式を採用している。


▲通常時は暗くなると必要最低限のみ自動で点灯する。(※その他は、避難時強制的にスイッチをON)

▲天井にはフロアを取り囲むように、防風・防寒用シートを吊り下げるフックが設けられている。
イザというとき 各部屋へのアクセスは⁉

▲南国市の全タワーは、地元企業が開発した「震度5弱以上の揺れを感知すると自動で防災(※キー)BOXが開く」システムを採用している。



▲キーで開錠できるのは備蓄倉庫・授乳室・防災対策室(防災無線室)や…

▲トイレ室などである。ただし通常の水洗トイレ設備では、ライフラインが断たれた際には使用できなくなる。

▲そこで津波避難タワーは、ポータブルトイレ方式を採用している。
避難時の パーソナルスペースは⁉

▲ここは、収容人数(※820人)を誇る国内最大級のタワーだ。(※2022年10月竣工)

▲一人当たりのパーソナルスペースは1㎡となっている。

▲これは新聞紙を広げ、縦に2枚重ねたサイズ位と思えば分かりやすい。ただし、横になれるスペースではない。

▲タワー最上階の約1/3のエリアには屋根が無い。これは、ヘリコプターをホバリングさせて避難者を吊り上げるためである。(※あくまで、ここは避難場所なのだ)
コンセプトは 命山構想

▲タワーの周囲には南国市の花:タチバナ(左)や、木:ヤマモモ(右)が植栽されている。

▲これは南国市が進める「命山構想」に基づいている。今は無き命山が、津波被害から住民を幾度も守ってきたことに由来しているという。タワーは命山、樹木は命の森として、名実共に大きな山へと変貌を遂げるだろう。

▲1Fには(普段)弁当を広げて寛いだり、子どもたちが遊んだりできるよう人工芝が敷かれている。

▲ちなみに、南国市の全てのタワーの柱は「円形」となっている。これは、どの方向の波力に対しても抵抗を受けにくい形状が採用されているためだ。さらに、どの柱が破損しても大丈夫なよう梁を充実させている。
次回 浜提の上の集落と タワーについて


▲真っすぐな海岸線ゆえ形成された「浜提」、そして「集落」と「津波」の関係に迫ります。


▲上記2枚には、この地域が「浜提」である証拠が写っています。


▲次回は、8つの「津波避難タワー」を巡っていきます。

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