この記事の公開日:2024.07.09
▲日本最後のローカル新線をオープンデッキ車両で巡るプチ旅の第七弾をご紹介。
四国一小さい田野町と 大きな夢に散った二十三士
▲これは、田野町にある高架駅(海抜:10.6m)の「田野駅」である。田野町は面積が四国一小さな町だが、人口密度は県下3位となっている。
▲ご覧のように、2面2線の列車交換が可能な駅だ。(※終着駅:奈半利駅は単線だが、詳細は次回の“こぼれ話”で…)
▲駅のキャラクターは「田野 いしん君」。これは、藩政時代に殉節した土佐勤王党「二十三士」がモデルとなっている。
▲当初は別のキャラクター案だったが、イメージが少し違う…との沿線首長の声を受け現在のキャラクターに変更されたという、珍しい生い立ちを持っている。
▲田野駅の北方面には、豊かな田園地帯が広がり…
▲南方面は町並みが広がる…というように、駅を境に南北で全く異なる表情を見せる町だ。
「田野駅屋たのえきや」→「田野たのへ来きいや」→「田野たのへおいでよ」
▲道の駅では地元産に特化した食品(食材)を販売しており、遠くの町からもお客人が訪れるほど大人気の店なのだ。(※食堂も併設)
▲食堂で食べられるお薦めのご当地グルメをご紹介。それが、鯵・イカ・鱈などが練り込まれている「すりみの天ぷら」を使った「すりみ丼」である。
▲この「すりみ天」と「土佐ジローの玉子」を使った「すりみ丼」は、早々に売り切れる日が多い一品となっている。
▲その具材の「すりみ天」がこれ。売店で販売されているので、おやつ代わりにして食べるのもイイ。
▲地元の高校生が発案したご当地グルメ「すりみードッグ」。魚のすりみ(フライ)をパンに挟んだものである。シンプルな美味しさに脱帽。
▲魚のすりみと地元野菜を混ぜ込んだ衣!?の中に、チーズが挟み込まれている一品。右側のドリンクは、貴重な柚子を使った「ゆずジュース」。さっぱりしていて「すりみ」との相性が抜群。しかも1杯数十円(税込)の安さに驚く。(※2024.7.1現在)
プチ旅も終わりの 終着駅へ…
▲これが「ごめん・なはり線」の一番東側に位置する最終駅「奈半利駅」前の光景だ。この駅は海(奈半利港)のすぐ近くにあり、海抜12.9mの高架駅(ビル3F相当)となっている。
▲駅の構内には、レストラン(3F)・物産館:無花果(1F)・地域のお母さんたちの手作り弁当店:奈半利のおかって(1F)が設けられている。
▲物産館は周辺地域の土産物がかなり充実しており、観光案内までも行っている点が特長だ。
▲奈半利駅は、到着した列車がそのまま折り返す1面1線(単線)の構造である。
▲初めて訪れたとき、線路が空中でプツリと切れたような不思議な光景に驚いた。
▲建設当初は、さらに東の「室戸・甲浦方面」へ延伸することを視野に入れていたのだが、その後「大人の事情」により計画が中止となってしまった。(※列車の夜間停泊は安芸駅で行っている)
▲奈半利駅のキャラクターは「なは りこちゃん」。衣装デザインが、後免駅のキャラクター「ごめん えきお君」とお揃いになっている点にご注目。
▲乗客全員が降りるシーンは「終着駅に着いたなぁ」って感じで、旅感覚が一層増すから不思議だ。
▲愛車(自転車)で、これから何処へ向かうのかな!?
駅の隣にある 広大な緑地公園 実は…
▲これは駅に隣接された「奈半利港緑地公園」。県東部で最大級の規模の広さを誇っている。
▲町は公園を多くの人々に親しんで(利用して)もらおうと考えていた。そんなタイミングで、高知市内のある会社から無償で提供されたものがこれ。
▲巨大なプロペラのモニュメントである。この公園は港近くに位置しているのでイメージもピッタリ。
▲公園の地下には、大規模災害時に住民の飲料水を確保出来るよう貯水槽が埋設されている。
季節の移ろいに合わせて 印象が一変する公園
▲公園周囲の樹木が鮮やかな緑色で生い茂る光景も素敵だけど、春に華やかにピンク色に一変する光景も必見。
▲結構「画になる」でしょ!?
歩いて行くには遠いけど… モネの庭は必須!?
▲奈半利駅は近隣市町村へのアクセスが充実しており、駅から出ている路線バスを利用し各地へ足を延ばすことが出来る。
▲奈半利駅の近隣で、どうしても紹介しておきたいポイントが、駅からバスで約10分のところにある「北川村モネの庭マルモッタン」だ。
▲本家:モネ財団(仏)から、その庭を名乗ることを許された「世界唯一」の「庭園」である。そこで見られる絶景の数々については、今秋に紹介予定です。
次回は… 全線のこぼれ話をまとめて
▲本編では触れられなかった「ごめん・なはり線」ルート内の、とっておきの「トリビア」や「エピソード」をまとめて紹介します。
コメント
南国土佐の中央部から県東部へ延びるごめん・なはり線の旅も線路の端を目の当たりにしたらいよいよ大詰めかと一抹の寂しさがあるねえ
終着駅のラス前は田野駅
ここで幕末土佐藩の政変に翻弄され殉難した土佐勤王党二十三士をよくぞ取り上げてくれたねえ
今はもう高知県内でも語られること少なくなってきている土佐勤王党二十三士の非業の最期
歴史に興味をもちだした小学高学年の頃からその理不尽さに憤慨してウン十年
いまだに土佐藩の仕打ちが癪の種のまま
幕藩体制は右顧左眄天下の旗は朝廷へという流れは堰き止めようもない御時世に土佐藩は何を血迷い旧套墨守
大政奉還・明治維新を目睫の間にしての二十三士は無念の横死
明治新体制になれば縦横の活躍の場が待っていたはずの若い人材を頑迷固陋な土佐藩重役どもに犯罪者同様に扱われ奈半利河原の露と散った恨みは尽きぬ物語よねえ
惜しんでも惜しみきれん
将軍のお裁きに弓引く格好となった赤穂浪士でさえ大名屋敷内での武士の対面を保つ切腹の沙汰となったものを二十三士は藩政改革の建議をしたかどにより罪人扱い
一片の取り調べもなく奈半利河原での問答無用の打ち首とはあんまりな仕打ち
ほどなく御維新で世がわりした後に二十三士が名誉回復されたとき目端のきかなかった旧土佐藩重臣どもは時の変改を何と受けとめたかねえ
関ヶ原の戦のあと進駐軍として山内家ごときを迎えざるを得なかった土佐人の末裔として今に至るもやりきれん話で往時の土佐藩山内家には親しみが持てんわ
路線の旅に立ち返り
田野駅のすりみ丼の美味そうなことねえ
肉・魚が少々苦手な御仁にも手を出してもらえそうな構成は魅力的やね
地元高校生が発案したというご当地グルメのすりみードッグも柔軟な発想やわ
若人の進取の気性は土地柄かねえスバラシイ!
奈半利駅は言わずと知れた終着駅
終着駅というワードは何とも旅情をさそうフレーズでねえ
終着駅を利用して県中央部などを行き来する地元の人や更に東進を目指す人
奈半利周辺地区を散策・観光する人など様々な目的をもってごめん・なはり線を利用してきた人々が終着駅に降り立つ人生模様を終日眺めてみたい誘惑に駆られるねえ
駅近には船の尾ばったに位置するスクリューのモニュメントがある県東部最大規模の広さを誇る奈半利港緑地公園があり近隣には世に知られたモネの庭もあり奈半利駅はますます人気が出ていい処と感じるねえ
ごめん・なはり線の旅満喫させてもろうたわ
コメントをありがとうございます。
4月上旬から3ヵ月にわたり「ごめん・なはり線」のプチ旅を紹介して参りました。
発見や驚きなどを味わっていただけたでしょうか。
記事内容の構成上、まだまだ紹介しきれなかったトリビアがたくさんあります。
本編では伝えきれなかった「ごめん・なはり線」に関する情報の中から幾つかを、
次回「番外編(こぼれ話)」として動画も交え取り上げたいと思います。
さて、今回取り上げた「二十三士」のエピソードですが、「士農工商」というくくりだけでは見えてこない
土佐藩独自の身分制度「上級武士」と「下級武士」の中で翻弄された「23人の尊い命」について触れました。
全国はもとより、地元高知でもあまり語られることのない出来事です。
しかし、現実にそれは起きた「理不尽な事実」なのです。
これを機に一人でも多くの人たちがそのことを知って、
それぞれが何かを感じ取っていただけたなら取り上げた甲斐があります。
また、プチ旅の終点となった「奈半利駅」は、田んぼとの境界で突如切れ目を見せています。
これだけを取ってみても、この路線がどういう運命を辿ったのかが想像出来ようというものです。
普段何気なく目にしている光景には、それぞれ深~い歴史(出来事)が隠されています。
たまには、その時代や背景に思いを馳せてみると「知見」を深めるのに役立ちますね。