
この記事の公開日:2026.09.25




▲南国市の津波避難タワー(※以降タワー)と減災手法を紹介する4回シリーズの三回目。

▲前回は地震の基本知識や、浜提とタワーの関係を紹介しました。





▲今回はタワーに対する地域の取り組みや、最新工法を採用した堤防や離岸堤などを紹介します。
浜提の上にタワー

▲浜提の上にタワーがあるということは、集落も形成されていることを意味する。

▲ちなみに浜堤とは砂が波によって海岸線に堆積し、盛り上がって形成された砂地エリアのこと。
⑥浜改田 中ノ丁タワー のケース


▶収容人数=483人/杭長=21.0m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=1.55m+α


▲これはデジタル防災行政無線設備。イザというときJ-ALERTに接続され災害速報を伝える役目を担っている。

▲地域各所に設置されており、電話網寸断や停電時でも放送出来る予備電源を備えている。

▲全タワーおよび各鉄塔のスピーカーや…

▲全タワーに設けた半鐘が、地域住民の命を守る要となるだろう⁉



⑤浜改田 本村タワー のケース


▶収容人数=565人/杭長=24.6m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=3.95m+α

▲このタワーのみ、何故か1Fに低温貯蔵庫と倉庫が設置されていたのだが⁉



④浜改田 岩坂タワー のケース


▶収容人数=270人/杭長=15.5m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=1.99m+α

▲県内のタワー98基/126基が、建設から10年以上経ち経年劣化が問題になっている。

▲タワー建設時には国からあった(手厚い)財政支援が、メンテナンスには(制度上)無いのである。

▲無いのであれば「知」を駆使して(課題の)解決に当たるしかない。

▲具体的な運営や対策について、この地区の自主防災会会長にお話を伺った。

▲取り組み:例1…行政が準備した備蓄品では不十分。住民たちがリサイクル廃品収集活動を行い、売上を備蓄品の購入費やタワーの修繕費に充てている。

▲これは、備蓄庫への搬入時に活躍する仕掛けである。(※詳細はこちらから)

▲取り組み:例2…車椅子の住民のために(許可を得て)滑り止めを施したり、ゴムシートを敷いて段差をなくしている。

▲取り組み:例3…竣工時照明器具は真下を照らし、必要な箇所が見えづらかった。そこで照射の向きを変え、階段やスロープにおける足元や備蓄庫の入退室時の明るさを確保した。

▲取り組み:例4…防風・防寒用シートは予め支給されているが、遮熱ネットは廃品収集の売上金で購入。ワイヤーを張り、カーテン式にして穴の間隔が異なる両シートに対応した。

▲取り組み:例5…用を足すトイレスペースは、どのタワーにも完備されているが…

▲その利用時には、フロアに人が大勢いることになるだろう。

▲そこで互いの視線を遮るため、ワイヤーを張りシートを吊れるようプライバシーに配慮した。

▲取り組み:例6…手洗いの水はペットボトルに入れ、定期的に交換しながら常備。(※水道は通常時の清掃専用)

▲これは、震度5弱以上の揺れを感知してセンサーで防災BOXの開錠をするシステムだ。

▲取り組み:例7…(2026.4現在)平均年齢約60歳の地区で、定期的に実施される津波避難訓練。誰が担当しても重要項目が抜からないようマニュアルをドアに掲示している。

▲取り組み:例8…避難時に必要な品を備蓄してはいるが、食品の賞味期限以外の物品の中には消費期限が設けられたものもある。その再購入に廃品収集品の売上金の一部を充てている。

▲取り組み:例9…庫内へ個人の避難用荷物も保管している。集落にあるタワーならではの、住民による住民のための対策である。

▲取り組み:例10…交代する各地区防災会長の名前や住所の把握には手間がかかる。そこで連携を円滑にするポストが活躍。急ぎでない連絡物は、随時各地区の防災会長が確認しに来ている。

▲参考:⑮スポーツセンタータワーは特定集落が避難対象ではないので防風・防寒用シートの備蓄が無く、その他の備蓄品も最低限のものしかなかったのだ。
③浜改田 浜田タワー のケース


▶収容人数=270人/杭長=39.0m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=1.05m+α




②十市 坪池タワー のケース


▶収容人数=209人/杭長=28.5m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=0.54m+α




①十市 阿戸タワー のケース


▶収容人数=281人/杭長=13.0m/津波到達予想時間=37分/予想浸水深=4.17m+α

▲南国市の最西端にあるのが、十市阿戸タワーだ。


▲目前には、設置された切実な理由を忘れそうな絶景が広がっている。


▲初めてタワーを訪れた際、トイレの中に設備が無いことに驚いたものだ。(※詳細は⑮スポーツセンタータワーへ)

▲山頂には、緊急避難場所に指定された「四国八十八箇所の札所:禅師峰寺」がある。

▲タワー前は自動車1台ほどの道幅だが、さすが参拝用バスのテクニックは凄い!

▲こちらは、次の札所:雪蹊寺へ向かう歩き遍路さんたち。歩くと結構な距離になる。

▲その札所へは海の上の県道を通って行く。浦戸大橋右側の位置が渡船場だ。
参考:渡船場近くのタワー(高知市)


▶収容人数=619人/杭長=10.56m/津波到達予想時間=30分/予想浸水深=4.5m+α

▲県内第一号:津波避難タワーの種崎公園タワー(高知市)である。公園周辺の津波避難困難地域を解消するため2014年春に設けられた。

▲ちなみに、高知市の津波避難タワーは全部で9基ある。(※2026.9.24現在)

▲海方向に目をやると高知新港が…「あっ、新港に大型クルーズ船!」
津波に強い港を目指して(高知新港のケース)

▲イザというとき高知県は「陸の孤島」となることが懸念されている。そこで緊急救援物資輸送の要になるのが港だ。「三重防護」という堤防整備で被害の軽減を図ろうとしている。

▲高層ビル並みの大型クルーズ船は、間近で見るとインパクトが大き過ぎる⁉

▲新港の高台から南国市の海岸線を眺めた光景である。写真では分かりにくいが、津波避難タワーが堤防沿いに立ち並んでいる。

▲高知県では、伊勢湾台風・第2室戸台風・土佐湾台風などをきっかけに高波対策を進めてきた。

▲しかし、堤防を崩壊させた東日本大震災(2011年)が堤防整備の考え方を大きく変えた。県は、宝永地震(M8.6)クラスの津波にも耐えられるよう舵を切ったのだ。

▲南国市の「十市・前浜海岸」の堤防は最新工法を採り入れ、地震による想定液状化沈下分を予め嵩上げしたり、津波への抵抗力を発揮する構造を採用した。

▲海岸線は「波」により、長年砂浜の浸食が進んでいた。そこで砂浜の安定を図り波浪を低減するため「離岸堤」の整備が進められた。

▲離岸堤は、その消波(弱体化)機能により砂浜の消滅を阻止し、陸上への波の侵入を防いでいる。

▲昨年春、物部川河口から高知新港まで8㎞余り・全53基の離岸堤の設置が完了した。
予告:南国市の命山と 津波避難タワーの 関係は⁉


▲津波避難場所の一つに指定されている琴平神社。

▲命山の神社はタワーより遥かに高い位置にあるが…

▲あなたならどうする⁉、どっちへ避難する⁉


コメント
浜改田地区の海に対峙するが如くずらっと立ち並ぶ津波避難タワー
その姿を見るにつけやがて押し寄せてくるであろう災害の大きさが推測され身がすくむ思いがするねえ
俗に身構えがしっかりした樣を地に足がついてるだの腰が据わっているだの足元がどっしりしているだのと言い表すけんど
当たり前じゃがどのタワーも足元・基礎を重視しているようで見た目にもげに安心感があるけんどまあ凄いごつい物を構えないかんご時世に行き会うたもんよねえ
地図で見ると近接しちゅうように見える各タワーじゃけんど予想浸水深は何十㎝のところから人の背丈をはるかに超すという予測の所もありさまざま
巷間津波の圧はもの凄く人の膝の高さでも万事休すとなることがあると聞くきそれぞれのタワーを拠り所にして日を送る各地区の方々の緊張の糸を緩めきれない心理的な負担はいかにと思うばかりやねえ
物が出来たき安心とばかり気を抜くことができんところが長く続く悩みの種にもなろうというものじゃろうけんど浜改田の岩坂タワーを擁する自治会のタワー運営や対策に関する自治会防災会長の見識には舌を巻くねえ
行政が準備してくれる備蓄品の不足を地区住民の人達がリサイクル廃品収集活動を行って補充する
車椅子の住民のために(許可を得て)滑り止めを施したりゴムシートを敷いて段差をなくし
竣工時の照明器具の照射角度を見直し階段やスロープにおける足元や備蓄庫の入退室時の明るさを確保したり
予め支給された防風・防寒用シート以外にも遮熱ネットの必要性を感じ取り廃品収集の売上金で購入しワイヤーを張りカーテン式にして穴の間隔が異なる両シートに対応さしたり
用を足すトイレの利用時にフロアに人が大勢いるとの現実味のある予測をたて互いの視線を遮るためワイヤーを張りシートを吊れるようプライバシーに配慮した
などなど
ほかにも手洗いの水はペットボトルに入れ定期的に交換しながら常備したり
定期的に実施される津波避難訓練を誰が担当しても重要項目が抜からないようマニュアルをドアに掲示したり食料備蓄品の消費期限が設けられたものの再購入に廃品収集品の売上金の一部を充てている
など災害時の現実的な対応に不便・不自由をかこつことの無いよう手立てを講じて続けて行っている手腕はまっこと見事なもんじゃねえ
歴代の自治会防災会長に人材が続いた僥倖よねえ
先ごろ鬼籍に入った元プロ野球選手の大立者張本勲氏の常套句を借りて「あっぱれ」というほかないねえ
地道なリアリストが責任担当者をこれからも続けて行ってもらえるよう祈るや切なるものがあるわ
早速ご覧いただきありがとうございます。
民家が立ち並ぶ集落の中にポツンと立つ無機質な「津波避難タワー」がある光景は
建設当時は違和感しかなかったのですが、昨今はすっかり馴染んできました。
というより、むしろ安心感さえ憶える様になったのは時代の影響でしょうか。
今回大いに気づかされたのは、行政だけでは限界があるということです。
やはり一番大きなのは、当事者である住民たちの「防災・減災」に対する向き合い方(意識)次第だということでした。
特に、紹介した自主防災会会長さんの向き合い方には唸らされるものがありました。
その考え方の一端でも、ぜひ他の地域にも広がればいいなあと感じました。
よく考えてみれば「当たり前」「なるほど」と言う事が「ボ~ッと生きている限り気づかない」、
そして「避難時のストレスを如何に少なくするのか」の分かれ目となることでしょう。
災害の度に繰り返される「前回の経験が活きていない」という報道。
自然災害は、防ぐことや無かったことにはできないけれど、
その時活きてくるのは日常の「ちょっとした気づき」でしょう。
私も肝に銘じておきます。